ハイブリッド専用の「レクサス」、10・15モードの燃費は23.0km/l(1/2 ページ)

» 2009年10月01日 00時00分 公開
[Automotive Electronics]

 トヨタ自動車は2009年7月、高級車ブランド「レクサス」として初のハイブリッド車専用モデルとなる「HS250h」を発売した(写真1)。排気量2.4l(リットル)のアトキンソンサイクルエンジンと、モーター/リダクションギヤを組み合わせたハイブリッドシステムにより、10・15モードにおける燃費で23.0km/lを達成した。価格は395万〜535万円。月間販売目標台数は500台。

 同社社長の豊田章男氏は、「HS250hは、自動車を運転するときのワクワク感と環境性能との調和を追及したハイブリッド専用車だ。また、グローバル化により自動車のサイズが大きくなっている現状を見直し、日本の道路に最適なサイズや重さに仕上げた」と語る。

写真1 レクサスHS250h 写真1 レクサスHS250h 

 HS250hは、発売前の時点で3000台を受注している。そして、レクサスブランドの国内販売においても、すでに半分以上をハイブリッド車が占めるようになったという。同社専務の古谷俊男氏は、「2009年1月に発表した『RX』も、販売した大半がハイブリッドモデル。レクサスブランドにとって、ハイブリッドタイプは、イメージリーダーにとどまらず、もはや名実ともに牽引役と言えるだろう。HS250hは、ハイブリッド車ながらレクサスブランドの中で最も安価で求めやすい上に、現在はエコカー減税などの恩恵も受けられる。今後の販売台数の増加も十分に期待できるだろう」と意気込む。

トランクルームの容積を拡大

 HS250hのサイズは、全長4700mm×幅1785mm×高さ1505mm。レクサスでは中位グレードのモデルである「GS」と比べて、全長で70mm、幅で35mm小さい。一方で、高さは70〜80mm大きくなっている。ホイールベースは2700mmで、GSよりも150mm小さい。車両重量は1640kgである。

 ハイブリッドシステムは、「プリウス」と同じく、車両前部のエンジンルーム内にエンジンとモーターを並列に配置するFFタイプである。エンジンは、「エスティマハイブリッド」などで使われている排気量2.4l/直列4気筒の「2AZ-FXE」を採用した。同エンジンの最高出力は110kW(6000回転/時)で、最大トルクは187Nm(4400回転/時)。モーターは、最高出力が105kW、最大トルクが270Nm。ハイブリッドシステム全体の最高出力は、140kWとなっている。リダクションギヤの採用によるモーターの小型化と高出力化など、3代目プリウスをはじめ同社がこれまでに発売してきたハイブリッド車向けの最新技術が、HS250hに適用されている。

 HS250hのハイブリッドシステムは、2つのコンセプトを基に開発された。

 1つ目が、「レクサスブランドにふさわしい運転時のフィーリング」である。走行時におけるエンジンとモーターの動作切り替えを管理する、エネルギー管理ECU(電子制御ユニット)のソフトウエアについて、モーターの使い方に関する工夫を加えた。「高級車ブランドであるレクサスには、通常のトヨタブランド車よりも厳しい性能基準が要求される。この基準に適合させるため、走行時にフロア部にかかるG(加速度)を、通常のトヨタブランド車よりも数割小さくするなどの工夫を加えた。これにより、ドライバーがハイブリッドシステムの動作切り替えを意識せずに運転できるようになる」(同社)という。また、モーター側の軸について、精度の高い部品を採用することにより、動作切り替え時のショックがドライバーに伝わらないようにしている。

写真2 2次電池パックを冷却するための吸気口 写真2 2次電池パックを冷却するための吸気口 後部座席の左端、ドアとの間の部分に設けられている。

 もう1つは、「トランクルームの容積」である。レクサスの既存のハイブリッドセダンである「GS450h」では、トランクルームの狭さが課題として挙げられていた。HS250hでは、後部座席の後方に設置する2次電池パック、DC-DCコンバータ、補機用2次電池のパッケージングについて設計を最適化した。具体的には、GS450hにおいて2次電池パックの後方に配置されていたDC-DCコンバータが、HS250hでは2次電池パックの上に積み重ねられている。そして、補機用2次電池は、2次電池パックとDC-DCコンバータの右側の空間に設置した。これにより、トランクルームの奥行きを広くとることが可能になり、ゴルフバックが4個入るようになった。「レクサスのハイブリッドセダンの中で、トランクルームの容積は最も大きい」(同社)という。また、2次電池パックを冷却するための吸気口は、GS450hでは後部座席のヘッドレスト後方にあるバックボード上に設けられていた。それに対し、HS250hでは後部座席と左側後部ドアの間の部分に移動している(写真2)。

 HS250hは、通常の走行モード以外に、スイッチを押すことにより3つの走行モードを選択できる。「EVモード」ではモーターのみで走行する。「エコモード」は、アクセル操作に対する出力を小さくし、燃料消費を抑える。「パワーモード」では、アクセル操作に対する出力が大きくなり、山道などにおいてキビキビした走行が可能になる。

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