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» 2009年10月29日 00時00分 UPDATE

実践! IE:方法改善の技術(1):方法改善は「4つのポイント」を見逃さないことがコツ!! (2/4)

[福田 祐二/MIC綜合事務所所長,@IT MONOist]

2:方法改善の考え方

 方法改善は、「最適な作業システムを指向する科学的アプローチである」といえます。つまり、望ましい業務の作業方法をつくり出すことです。目的とするアウトプットを生み出す仕事の仕組みを、生産の3要素である「人」「設備」「モノ・材料」を最も経済的に活用する方法をつくり上げることだといえます。

 そのためには、現在の作業方法あるいは新しい作業方法について科学的に分析や検討を行い、それらの情報を基にして新しい方法を設計します。新たな作業システムの設計(方法改善)を行う際の留意点としては、いろいろな側面から考えると、たくさんあるとは思いますが、それらを要約して以下の4つのポイントにまとめました。

    ・「気に食わない作業」を見つける

    ・改善後の新しい方法のフォローアップと定着化

    ・実際に作業をする現場の人たちの納得を得る

    ・不安定な作業を攻めよ!

方法改善のポイント1:「気に食わない作業」を見つける

 生産工場では、日々繰り返し、多くの作業が行われていますが、誰でも楽に、早く、仕事を済ませたいと考えているのに、まだまだ、どこの職場を見ても多くの「気に食わない(自分の気持ちに合わず、不満で気に入らない)作業」が行われています。そこで、この「気に食わない作業」を改善対象として取り上げよう、ということです。ここで重要なのは、「気に食わない作業」は現象であり、そういった現象を生み出す原因こそが改善対象なのです。

 「気に食わない」と感じるのは、結局のところ、仕事ができる条件や環境が整っていないことが原因となっていることが多いのです。

 材料や工具が見つからない、急に残業だ、遠くまでものを運ばなくてはならない、設備が故障した、どうやっても不良がなくならない、計画した日に作業が完了しないことが度々ある……など、「どうにも、やりにくくて仕方がない」という仕事がたくさんあります。

 「こんなことをいっては差し支え(都合の悪い事情)がある」などの心配は抜きにして、「気楽に話し、気楽に聞き」、お互いに不便を感じていることを明らかにしていこうというわけです。自分の仕事の欠点を隠さずに遠慮なくいえることが将来の「あるべき姿」をつくり上げていくことの基本でもあると思います。このためには、先入観を捨てることが大切です。

気に食わない作業を書き出す

 早速、皆で集まって「気にくわない作業」を書き出して改善に取り組んでみましょう。特に、後工程の人たちは「後工程はお客さま」ですから、ドンドン前工程に「気に食わない作業」への注文を付けていきましょう。

 前工程は、それを素直に受け止めて、後工程の人たちに満足してもらえるように、徹底的に改善を加えていくことが重要です。後工程が前工程の作業品質の劣化や、前工程で発生したミスに対して我慢せずに改善を迫っていかなければ、プロセス全体の作業品質が決して良くならないことを全員が承知しておくことが、この種の改善を進めていくための必須条件です。

前工程・後工程の意思疎通が重要

 仕事には前工程と後工程があります。理想は、前後の工程が一気通貫でつながって、よどみなくスムーズに仕事が遂行されていることですが、現実にはなかなかそうはうまくはいきません。工程間に壁ができてしまい互いの意思疎通が悪くなったり、工程間によどみができて仕事のスピードが低下してしまいます。お互いの所属や職位にこだわらずに、互いの仕事に入り込んでいくことで、お互いに何を考え何をやろうとしているのかなどが、理解し合える関係づくりへの努力が必要です。つまり、お互いに何でもいい合える、部門を超えた良好なコミュニケーションが重要なのです。

我慢慣れは敵

 ところが、いろいろな不具合や作業品質の劣化に対して、耐えて、なんとかうまくやり遂げようと我慢している場合が多くありませんか? 我慢には、当然のことながら苦痛が伴います。我慢強い人は、意志の強い人ともいえますが、一方で、我慢を続けることによって慣れてしまうという一面があります。また、我慢が高じてくると「こんなキツイ仕事は、俺たちでなければできるわけがない」と、逆に、そのキツイ仕事を自慢にさえ思うようになります。いずれにしても、我慢が業務品質の劣化を促進してしまうことは確かです。

2.2:方法改善のポイント2:改善後の新しい方法のフォローアップと定着化

 一般に作業改善というのは、ややもすれば尻切れトンボになりやすく、改善後に、実際に作業している人たちの声を聞くと不満がかなり多いものです。

 この原因は、改善案が良くないからということよりも、その後のフォローアップが不十分だからということがずっと多いのです。

 ほとんどの改善は、それなりの効果があるもので、どうやっても、まるでダメということはあまりありません。

 それにもかかわらず、改善が十分にものになり、効果が永続きすることが少ないのは、その原因として、新しく始めた方法のまずさよりも改善によってやめた旧方法にあります。

変化への戸惑いと混乱、ダレに注意

 それは、いままでやってきたことが、たとえまずくても、前後のこととバランスして実施されてきていたのに、それをやめた、あるいは変更したことによって、多くの結合が破壊されていたり、新しい方法に対する戸惑いなどが生じてしまうためです。

 物事は、相互に複雑に絡み合っているものですが、それらを事前にキチンと整理していなかったことも起因します。

 改善したばかりのときは効果も目に付くし、「さぁ、やろう!」という気持ちにもなりますが、時間がたつにつれてほとぼりが冷め、徐々に面倒くささが増してきて、いつの間にか元に戻ってしまう場合が多くあります。

 改善効果の徹底と新方法の永続を図るためには、その改善を実施した後に注意深くフォローアップし、細かい不具合を根気よく検出し、1つずつ修正していくほかはありません。換言すると、計画した「改善項目だけを実施して、それで終わりにしない!」ということです。

 「作業改善の尻切れトンボ」のもう一つの原因は、新しい方法をいくらも試さないであきらめてしまうことです。最初は、新しい方法に不慣れであることや、なんとなく「以前のやり方の方がいいな〜」と思いながらのトライアルですから、最初からそんなにうまくいくはずはありません。また、慣れたやり方と新しいやり方を比較すれば、人は慣れたやり方を選びたいのは当然のことです。しかし、こうした不慣れでできなかったことも、いったんできてしまうと後は何度でもできるようになるものです。

 つまり、体がコツを覚えるまで何度も練習したかどうかが大切で、「あ〜、ダメだ!」と途中で投げ出してしまわないことです。あきらめずに繰り返し、トライし続けることで上達していくのではないでしようか。

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