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» 2009年11月30日 00時00分 公開

セールス&オペレーションズ・プランニングの方法論(1):経営と現場の情報は「超」シンプルにつなぐべし (2/3)

[松原 恭司郎/キュー・エム・コンサルティング,@IT MONOist]

S&OPプロセスの標準形とは

 「世界のバリューチェーンから日本がはじかれる!? S&OPに対応すべきこれだけの理由」では、S&OPの5ステップモデルについて取り上げましたが、ここでは少し掘り下げて見ていくことにしましょう。

S&OPプロセスの進化と対象範囲の拡大

 S&OPプロセスは、ほかのマネジメント・コンセプトと同様に、20年前の提唱から企業環境の変化とともに進化し、統合化へと向かっており、S&OPがカバーするビジネスプロセスやアクティビティも拡大してきています。

 つまり、S&OP(セールス・アンド・オペレーションズ・プランニング)の(1)セールス(需要)の側面では、その対象範囲をマーケティングと販売から、新製品の開発と発表、そしてリソースに影響を与える「新規のアクティビティ」にまで広げ、(2)オペレーションズ(供給)の側面では、単一工場内から、アウトソース先を含む複数の生産拠点、そして業者を含むサプライチェーンへと対象範囲を広げ、(3)プランニング(計画)の側面では、累積レベルの戦術計画として、下位の工場スケジュールや購買スケジュールに加えて、上位の事業計画や予算管理(財務評価)との連携が強化されてきたのです。

5ステップで月次で実現する需給計画調整

 S&OPプロセスについては、その論者や発展段階によって、いくつかの構造やサブプロセスが紹介されていますが、筆者はS&OPプロセスを、以下の0〜4および5の流れで整理しています。

  1. データ収集
  2. 新規アクティビティ・マネジメント
  3. 需要マネジメント
  4. 供給マネジメント
  5. 統合された調整活動

 上記0〜4のプロセスを経て、最終的に「5. エグゼクティブ・ビジネス・レビュー」へと至る、トップマネジメント以下、関連機能部署のミドルマネジメントが参画する「データ収集+5つのサブプロセス/ステップ」から構成される一連の月次の情報共有と意思決定のプロセスであると定義しています。

 図2にS&OPの5つのサブプロセスごとの参画者の例を示してあります。

図2 5つのサブプロセスのそれぞれで参加すべき担当者 図2 5つのサブプロセスのそれぞれで参加すべき担当者

各ステップでは何を実行する? 

 以下にS&OPの各サブプロセス/ステップについて、その概要を紹介しておきます。

【ステップ0:データ収集】で行うこと

 このステップでは、ERPをはじめとするITシステムの情報を活用して情報収集を行い、マネジメントに対して有用な情報を提供します。

  • 実績データおよび予測基礎データの収集と加工
  • 販売予測対実績、生産計画対実績、在庫計画対実在庫、バックログ計画対実績、およびそのほかの業績評価指標(KPI)を報告

【ステップ1:新規アクティビティ・マネジメント】で行うこと

 このステップでは、中長期をにらんだ新製品の導入や新工場の建設などのプロジェクト・マネジメントが含まれます。

  • 更新された製品計画のタイミングやコストに対しコミットメント(合意)がなされる
  • S&OPプロセスの需給バランスの前提条件などに影響を与える新規アクティビティのレビューと取り込みを行う

【ステップ2:需要マネジメント】で行うこと

 このステップでは、統計的需要予測CRM(顧客関係管理)などが含まれます。

  • 需要計画の販売実績と、市場および顧客の需要計画に対するオーナーシップを確立
  • 更新された需要計画の数量、売り上げそしてマージンについてコミットメントがなされる

【ステップ3:供給マネジメント】で行うこと

 このステップでは、MPS(マスター・スケジュール)MRP(資材所要量計画)などが含まれます。

  • 実績、リソース、そして代替的な供給シナリオの管理
  • 需要と生産マネジメントの要求に対応し、リソースとコストを管理する達成可能な供給計画に対するコミットメントがなされる

【ステップ4:統合された調整活動】で行うこと

 このステップでは、予算などの財務情報と連携が含まれます。

  • 既存の方針、戦略、そして現行の事業計画の枠内での、需要と供給のバランスに関する意思決定の実施
  • 問題やギャップの解決
  • 問題に対する解決シナリオの作成
  • 合意に達しなかった項目の明確化と、「エグゼクティブ・ビジネス・レビュー」への提示
  • 「エグゼクティブ・ビジネス・レビュー」のアジェンダの作成

【ステップ5:エグゼクティブ・ビジネス・レビュー】で行うこと

 このステップでは、責任者としてのトップマネジメントの最終意思決定を行います。

  • 事業計画の達成状況のレビュー
  • 前月からの変更点、変更の影響、アクティビティの進ちょく状況、そして「統合された調整活動」で提起された課題に焦点を当てる
  • ギャップ解消と改善活動の方向性の提示
  • 更新された統合計画の承認

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