「21世紀を作っていくための基礎技術は日本が持っている」──宙博講演:電気自動車の未来電気自動車(3/3 ページ)

» 2009年12月08日 12時35分 公開
[佐々木千之,@IT MONOist]
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 「Eliicaの全長を2倍の約10メートルにし、幅を50センチメートル広げて2.5メートルにする、そしてそれを土台にバスを作る。車輪は8つ。車輪を多くすることのメリットは1つ1つのタイヤを小さくできること。通常のバスのタイヤは直径95センチメートルくらいあるが、70センチメートルくらいに抑えられる。いま街を低床バスが走っているが、入り口は低床だが後ろには段差があるしタイヤの上の座席は座りにくい。私どもの仕組みならエンジンルームも不要でほぼフラットな車内が可能になる。環境に優しい以外に、新しい概念でバスを作ると違った価値を持ったバスが生まれる。いまいろいろな企業と協力して製作中で、来年には試作品が完成する予定だ」

現在開発中の8輪電気バス 現在開発中の8輪電気バス

電気自動車の未来ビジョンと、明るい未来像

 さらに清水氏は電気自動車が普及した後の進化についても言及した。

 「車が電気自動車に変わった後、人が運転しなくてもどんなところにも行ける車になると考えている。例えば行き先の住所を入力すると自動的にそこに行けるようになる。GPSや地図情報、いろいろなセンサーの開発によって自動運転が簡単にできるようになってきている。私どもの研究室では10年前から自動運転の研究をしているが、おそらくあと30年ほどで自動運転する車が一般的に使われるようになると考えている。今年作った自動運転の試作車は幅80センチメートル長さは1.5メートル。部品はすべて床下にあるので車内は結構広くできている。また外形を小さくすることによって建物の中に入れるという非常に大きな価値を生む。建物の中と外という概念がなくなるというのが将来の車の姿だと思っている」

 「車はまずは電気自動車に進化し、つぎに自動運転になる。そしてそれが世界中に広がって70億人が自由にその車に乗れるという時代が来る。そのためには自由にエネルギーが使えるということが大前提だが、そのための技術はすでに日本にはある。電気自動車を作るための基本的技術も日本にはある。だから次の21世紀を作っていくための基本的技術は日本が一番進んでいる。多くの方々は地球温暖化の問題、あるいは石油枯渇の問題、経済が良くならないということで21世紀はいままでより悪くなると考えているが、人類は全力をかけて20世紀に量子力学を発展させ、その科学的知見に基づいて新しい技術を見いだしてきた。21世紀のいま、また新しい技術が使えるようになる時代がやってきた」

 「宇宙を見ながらわれわれは新しい科学を発見し、その科学を使って新しい技術を生み出してきた。ガリレイの時代から400年にわたってそうやって人類は進んできた。そして将来もっと幸せな時代が来るだろう、もっと幸せな地球がくるだろうと私は考えている」

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