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» 2009年12月17日 20時15分 公開

LED照明設計の基礎(1):LED照明機器を設計するために必要なこと (2/2)

[サイバネットシステム 応用システム事業部 市澤 俊介,@IT MONOist]
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光特性

 LED1個当たりの光束は電球や蛍光灯に比べるとまだまだ小さいため、複数個のLEDを使用する必要があります。また、LEDは発光面積が小さく、輝度が高いため、直視するとかなりまぶしいです。そこで、輝度を下げるために拡散板を使用します。しかし、拡散板を使用すると必要のない方向に光が向かうことや、光を吸収することによって光が無駄になり、効率が低下してしまいます。

 また、LED、電球、蛍光灯の配光分布はそれぞれ異なります。配光分布とは、光源からどちらの方向にどれくらいの明るさ(光度)で光が放射されているかを表すものです。同じ光束の光源でも配光分布が異なれば、照度分布が異なってきます。本来照らしたい部分の照度が減少し、それ以外の部分の照度が増加してしまうこともあります。

 光の無駄を減らすことや配光分布をコントロールするには、レンズやリフレクタの使用が有効です。また、LEDは「発光面積が小さい」「光が放射する範囲は半球内」「配光分布が回転対称」といった特長があるため、レンズやリフレクタと組み合わせて使いやすい光源だといえます。

 ほかにも光源の特性で重要な項目として、色(スペクトル)があります。LEDの発光スペクトルは特定の波長近傍の狭い範囲に集中しており、赤外線は放射していません。そのため、照射物を暖めたくない場合にLEDは有利です。ただし、LED自体は発熱するので、その熱が伝わらないようにする必要があります。また、蛍光体タイプのLEDでは温度が変わると色度が変化することにも注意が必要です。

今回のまとめ:LED照明機器を設計するために

 LED照明機器に期待されていることとして、省エネ(高効率)、長寿命があります。確かに、電球と比較すれば現在の電球型LEDランプは効率がいいです。しかし、蛍光灯とLED照明機器を比較すると、まだ蛍光灯の方が高効率です。これは、LEDチップ単独では蛍光灯より効率が高くても、熱による発光効率の低下、交流から直流に変換する電源による効率低下、配光分布変換や拡散板による光のロス、などによってLED照明機器全体としては効率が低下してしまうからです。

 従って、LED照明機器への期待を実現するには、熱、電気、光のそれぞれについてこれまでとは異なる設計が必要になってくるのです。そのため、買ってきたLEDパッケージを単純に並べただけでは、せっかくのLEDの長所を発揮できているとはいえません。

 これまでとは異なる設計をするためには何が必要でしょうか? 効率を落としている原因を探るにはどうしたらいいでしょうか? 試作を繰り返しても原因を探るのは難しいでしょう。また、時間やコストが掛かってしまいます。より早く市場に製品を投入するにはどうしたらいいでしょうか?

 これらの問題を解決するには、コンピュータシミュレーションを使うのが有効です。コンピュータシミュレーションを使用した設計をCAE(Computer Aided Engineering)と呼びます。次回以降の連載では、LED照明機器設計において重要となる熱、電気、光のそれぞれについて、CAEソフトを使用してどのように設計に役立てるかを解説していきます。

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