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» 2009年12月21日 12時00分 公開

自社開発品が特許侵害に?! 身近に潜む知財リスク自社事業を強化する! 知財マネジメントの基礎知識(1)(2/5 ページ)

[野崎篤志/ランドンIP,@IT MONOist]

知的財産・知的財産権とは?

 本連載を始めるにあたって、そもそも知的財産とは何なのか? について確認しておきましょう。2002年に制定された知的財産基本法によれば、知的財産および知的財産権の定義は下記囲みのようになります。

 知的財産が法律的に保護されたものが知的財産“権”となります。

 知的財産権の種類について図2にまとめました。知的財産権は発明や文芸・芸術など知的創造物を保護する権利(例:青色発光ダイオードは特許権で保護されています、またディズニーのミッキーマウスは著作権で保護されています)と、製品・サービスを提供するうえで重要な信用維持を保護するための権利(例:クロネコヤマトの宅急便のロゴは商標権です)に大別されます。この中で特許権・実用新案権・意匠権・商標権の4つをまとめて産業財産権と呼びます(注3)。

 本連載の主役は特許権になりますが、折に触れてその他の知的財産権についても触れていきます(トッキョというと思い出すのは、東京特許許可局という早口言葉です。残念ながら東京特許許可局という役所は存在しませんが……)。


知的財産基本法 第二条

「知的財産」とは、発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの(発見又は解明がされた自然の法則又は現象であって、産業上の利用可能性があるものを含む。)、商標、商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報

「知的財産権」とは、特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権その他の知的財産に関して法令により定められた権利又は法律上保護される利益に係る権利

出典:http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki/hourei/021204kihon.html



図2 知的財産権の種類(特許庁ウェブサイトを基に著者作成) 図2 知的財産権の種類(特許庁ウェブサイトを基に著者作成)

注3:知的財産についての詳しい説明は省略します。以下の特許庁のWebサイトやテキストで基本的なところを学習してください。
日本国特許庁・知的財産権について
日本国特許庁・産業財産権について
日本国特許庁・平成21年度知的財産権制度説明会(初心者向け)テキスト


身近に潜む知財リスク

 「知的財産は重要だ!」と主張してもなかなか理解していただけません。重要性を説くよりは危険性を説いた方が、よりリアリティがわくと思います。知的財産を軽視するとこんな経営リスクに直面することになりますよ、という事例をこれから3つ紹介します。

 事例では年商20億円・社員数100名のロボットアーム工業株式会社という仮の中小企業に登場してもらいます。ロボットアーム工業の主力商品は産業用ロボットアームUDEで、売上の50%超を占めています。

 ロボットアーム工業株式会社の路保(ろぼ)社長はもともと大手電機メーカーのロボット研究者でしたが、スピンアウトしてロボットアーム工業株式会社を設立し、ここまで事業を大きく育ててきました。技術には詳しいのですが、知的財産権についてあまり詳しくありません。しかし、最近やたらと「知財、知財」と身の回りで話を聞くので、うちも何とかしなければ! と考えています。

 中堅技術者である地西(ちざい)さんは、現在ロボットアーム工業株式会社の主力商品である産業用ロボットアームを新たな分野へ展開するための研究開発チームのリーダーであると同時に、路保社長から全社の知的財産の面倒を見るようにいわれています。とはいいながら、研究が忙しく知的財産面まで手が回っていないのが現状です。

 これからこのロボットアーム工業株式会社の路保社長、地西さんに3つの知的財産面でのリスクが訪れます。いずれも対処方法を間違えれば、会社の存続すら危うくなってしまいます。

 「うちは大丈夫、大丈夫!」と思っている企業ほど、いざリスクに対峙(たいじ)したときに迅速な対応が取れずに傷口が深くなってしまいます。対岸の火事と思わずに読んでください。


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