車載リチウムイオン電池の増産計画が相次ぐ(2/3 ページ)

» 2010年01月01日 00時00分 公開
[Automotive Electronics]

18650セルを車載展開

 パナソニックは、『CEATEC Japan 2009』(2009年10月6日〜10日)において、18650サイズ(直径18mm×長さ65mm)の円筒型リチウムイオン電池セル(以下、18650セル)を用いたリチウムイオン電池モジュールを展示した(写真3)。家庭用太陽光発電や、燃料電池と組み合わせる蓄電システム、電気自動車用の駆動源などの用途に向ける。

 18650セルは、ノート型パソコンの2次電池の用途をはじめ、リチウムイオン電池セルとして最も広く利用されている。今回開発したリチウムイオン電池モジュールには、パナソニックが独自に開発したニッケル系正極材料を用いることで大きな容量と高い耐久性を実現した18650セルを採用している。また、正極と負極の間に耐熱絶縁層を設けることで、異物混入による短絡が原因となって発生する熱暴走を防止可能なセル安全技術も取り入れている。さらに、モジュールには、セルの一部に問題が発生した場合でも、電力供給への影響を最小限にとどめるための高信頼設計技術を適用した。

写真3パナソニックのリチウムイオン電池モジュール 写真3 パナソニックのリチウムイオン電池モジュール モジュールの左手前にあるのが18650サイズの電池セル。

 同モジュールは、直列接続した7個のセルを、20組並列で接続しており、総計140個のセルを使用している。すべてを直列で接続しているわけではないので、1個のセルに問題が起こっても、それに直列接続されている残り6個のセルが使えなくなるだけで済み、モジュール全体が機能停止することはない。

 また、18650セルが、ノート型パソコンをはじめさまざまな用途で採用実績があることも大きな強みとなる。さらに、携帯機器向けから、蓄電システムや電気自動車まで、幅広い用途を18650セルでカバーすることにより、大量生産による大きなコスト削減効果が期待できるとしている。

 同モジュールの主な仕様は以下のとおり。体積は約7リットル。質量は約8kg。出力電圧は25.2V。容量は58Ahで、エネルギー容量は1.5kWhである。パナソニックは、「現在規格化が進んでいる直流給電システムの電源電圧は、24Vもしくは48Vになると言われている。今回のモジュールの出力電圧であれば、同システムの電源電圧が24Vの場合には1個で、48Vであれば2個直列で接続することにより対応できるだろう」としている。

 また、三洋電機も2009年11月、18650セルを用いた電池モジュールの事業化を発表した。ただし、家庭用の蓄電池や電動バイクなど電動軽車両の用途に向けるとしており、電動自動車への搭載は想定していないという。

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