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» 2010年01月06日 00時00分 公開

シックスシグマの落とし穴(3):どうすればプロジェクトを阻む要因を排除できる? (2/3)

[楊 典子/五葉コンサルティング,@IT MONOist]

2. Measure(測定)フェイズに潜む障害

 Mフェイズは現状の業務プロセスフロー図や、プロセスの安定度、工程能力指数などを用いて、現状を見える化し、現実を正確にとらえるためのフェイズです。

 このフェイズは地道な調査や、データ収集、資料作成といった作業が続き、メンバーの工数を大きく取られる期間でもあります。特に時間を多く取られがちな業務プロセスフロー作成は、初めて作成にチャレンジするメンバーにとって負担も大きく、プロジェクトの進ちょくが遅れる要因にもなりがちです。ここでは、この業務プロセスフロー作成の負荷という障害とその対策について見ていきましょう。

事例2:作業者ごとのプロセス粒度の違い

 欠品率低減プロジェクトリーダーのK課長は、現状を理解するために、製品の見積もりから出荷まで、販売計画作成から生産までという、製品の流れが分かる業務プロセスフロー図を作成することにしました。分業で作業を進めることで完成までの期間を短くしようと考え、営業部・生産部・物流部それぞれの業務範囲について、関係する業務のプロセスフロー図を作成するようメンバーに依頼し、出来上がったものをつなぎ合わせる形で、全体像を作成しようと考えました。

 自分が担当する物流業務プロセスフロー図をようやく作り上げたK課長は、営業部、生産部の作成途中の資料を見せてもらい、大変驚きました。営業部の書いたフローは、見積もり、受注といった、大きな機能単位でプロセスが描かれているのに対し、生産部のものは作業者がどのシステムにどのような情報を入力するかまでが、詳細に描かれていました。

 あらためて自分のフロー図を確認すると、部分的に詳細に分かれていたり、大きくまとめていたりとバラツキがあります。それぞれが作成したフロー図で同じはずの業務内容を比べても、整合が取れません。結局このまま進めても、3つの資料を簡単に1つにまとめることはできない状況であるとK課長は判断しました。


対応策:プロセス策定前に認識を擦り合わせておく

 K課長は、メンバー全員の業務プロセスに対するレベル感(詳細度)を合わせ、正しい情報をフローにするために、個別作業は止めて、半日という時間をかけて全員で業務プロセスフロー作成ワークショップを行うことにしました。

 まず、業務プロセスフロー図をどのように生かしていくかという認識を合わせることから始め、現時点では全体の製品と情報流れや、業務の責任範囲(ステークホルダー)、欠品の発生に影響を与えるポイントが分かればいいということで、製品グループごとに、A3サイズ1枚で全体が見渡せるような、業務プロセスフロー図を作成することで合意しました。

 業務プロセスの細かさは、「人・場所・時間が変わったら、プロセスとして分割する」というルールを作り、悩むところは都度検討することにしました。

 半日間のワークショップでは、模造紙に業務プロセスの項目名を書いた付せんポストイットを張りながら、その順番や関連を確認していく形を取り、途中関連部署へ確認を取りながら、全員がする形で、1枚の模造紙上で、業務プロセスフロー図を作り上げることができました。

ポイント:分かりやすい基準のヒント

 業務プロセスフロー図は、現状分析や将来モデルを示すために必須の資料になりますが、この作成過程そのものも、メンバー全員が同じ視点で現状認識をすることを促進し、自部門以外の業務との関連性に気付き、課題に対する当事者意識を生み出す大切な学習の場となります。現実的にも、業務プロセスフロー図の作成に慣れたメンバーでない限り、個別作業では手戻りも大きくなりがちですので、短期集中型のワークショップ形式で、合意形成を図りながら作成することをお勧めします。

 また、作成の際のレベル合わせの方法としては、「人・場所・時間が変わったら、プロセスとして分割する」という基準が分かりやすく、使いやすいと思います。

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