ワーストケースと二乗和平方根って、何?公差解析 基本中の基本(2)(3/4 ページ)

» 2010年03月25日 00時00分 公開

ユー! もーイッカイやってみよう! いまの溝の寸法範囲で、±(プラスマイナス)公差に置き換えてミテ!


 デイちゃんの疑問は無視して、おじさんはマイペースに説明を進めます……。


10.15±0.15mmよ


入れる部品も、やってミテYO!


4.85±0.05mmになるよ!


ユーたち計算速いネ〜。じゃあ10.15mmから4.85mmを2つ分引いてミテYO!


10.15−(4.85×2)だから、0.45mmだよ。ねぇねぇ、おじさん何してるの? いま?


あとは溝の公差と2つの部品の公差をそれぞれ二乗して足して! そこのボーイ!


オレのこと? ふふっ、仕方ねーな。歴史だけじゃなく、計算も得意なんだ。(0.15^2+0.05^2+0.05^2)で0.0275だぞ


それを平方根で返すと0.165831……ダネ! 丸めて0.17にするよ! スキマは0.45±0.17mmにナル可能性もあるんだYO!


0.28〜0.62mmの範囲!? だったらまだ余裕がありそうじゃないですか! おじさん、何でそうなるんですか?


ミーは、天・使・さ・ん! いま、ミーは『ワーストケース』と『二乗和平方根』の2種類の方法で計算したんだYO!


『ワーストケース』? 『じじょーわヘイホーこん(二乗和平方根)』? 何それ!?


ワーストケースっていう言葉から、何を想像スル?


これは日本人が苦手だといわれる英語。日本語に直訳すると『最悪の状態』!?


イエス! 公差の最悪値を積み上げて、サイアクの状態を想定スルんだYO!


でもさ、その“サイアク”な部品同士がたまたま出会って組み立てるっていう可能性はどれだけあるのかなぁ〜。超レアだよね!!


同じ製品をタップリ作るとき、そこで出会う確率は超レアかもしれないネ! でも、ちょっとの数しかその製品を作らないから、どんな寸法で製品ができるのか傾向がつかみにくいとか、人の命にかかわるものを作っているとか……場合によってはサイアクな状況を考えておかないといけないこともあるんだYO!


そっかぁ。じゃあさ、『二乗和平方根』は何が違うの?


カンタンにいうと、その超レアな確率には、チョット目をつぶって、起こり得る可能性の範囲内で積み上げたってカンジかな?


……よく分かんないわよ


ユー! ……ゆうねぇ〜……なんちゃって! エヘッ!


……


例えばネ、さっきの部品をイッパイ加工するでしょ? そのときに公差の中心を狙って加工したデータを集計すると、こーんなふうにならない? デイちゃん!(図2)


図2 加工部品の寸法分布

うーん。まぁそんな感じかなぁ……


ここで線を引いちゃおう(図3)。そうすると、この山のミミみたいなところ(図3 黄色い箇所)、この割合って全体の0.3%なの。1000個作った中の3個の不良が、出ルか出ナイかの領域! この少ない確率は気にしないのが、二乗和平方根ダヨ! だからさっきの0.45±0.17っていうスキマも、0.3%は不良になるのが前提の数字だYO! だからワーストケースよりも結果が良いのさ!


図3 1000個作った中の3個の不良が、出ルか出ナイかの領域!

分かったような、分かんないような感じね。何でこんな計算が成立するの?


説明シヨウ! 分散の加法せ……


 キュルルルルルル〜。

 工作室に響く、とぼけた音。この正体は?

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