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» 2010年04月14日 11時00分 公開

樹脂部品設計のお役立ち小道具「底抜き」甚さんの設計サバイバル大特訓(4)(2/3 ページ)

[國井良昌/國井技術士設計事務所(Active Design Office),@IT MONOist]

設計サバイバルの「小道具」とは?

 設計サバイバル「道具」とは何か、もう一度、復習してみましょう。第2回では、樹脂部品を設計するうえで必要な「設計サバイバル術」として、「断面急変」の基本的な「知恵」と、Rの設置などの「大道具」を伝授しました。

 しかし、設計を「知恵」と「大道具」だけで遂行するには、あまりにも大ざっぱ過ぎます。「機械設計の料理本」を目指すこの連載のコンセプトからすれば、もう少しの気遣い、そして、設計者としてのプライドでもある「設計センス」を盛り込みたいところです。

 そして今回では、表1に示すように、樹脂部品設計における「さまざまな小道具」と称する設計サバイバル術を伝授します。これにより、樹脂部品の低コスト化と最適設計が実現できます。

表1 設計サバイバル術とその道具(「ついてきなぁ!加工部品設計で3次元CADのプロとなる!」日刊工業新聞社刊より)
良

トホホ、あのお店、当分の間出入り禁止になっちゃた……。気に入ってたのになぁ。しかし、甚さん、ちゃんと起きてるかな?


 さて甚さんの大無礼講祭から一夜明けた朝、いつものように良君が根川製作所の事務所にやって来ました。良君の心配は、どうやら無用だったようです。

良

甚さん、今日はすがすがしい朝を迎えたようですね。


甚

そうさ、昨夜はぐっすり眠ちまったからなぁ。ところで、オレ、なんかやらかしたか? よく覚えていねぇーんだなぁ。日本人技術者に『真の技術者魂』が戻ってほしいとか、ナントカ、そんな話をしていたと思うんだが。あん?


良

覚えてないのか……。


 それでは、ここからさらに深く実務レベルに入っていきましょう。まず、樹脂部品類の中でも特に多いのが外装部品です。身近な商品では、電卓、薄型テレビ、エアコン、インクジェットプリンタなどの外装カバーです。以降は、回路基板を収納する箱、つまり、樹脂製シールドボックスを取り上げましょう。シールドボックスとは、妨害電波を受けない、または、妨害電波を外に発しない、その電波を「シールド(Shield)」する役目の箱です。

 身の回りのシールドボックスとしては、ノートパソコン用の外装カバーやテレビゲーム機の外装カバーが筐体(きょうたい)、および、シールドボックスの役割の一部を成しています。

 樹脂製シールドボックスといっても、単なる樹脂の箱。皆さんは、図2に示すシールドボックスが頭の中に浮ぶのではないかと思います。

図2 頭に浮ぶ樹脂製シールドボックスのイメージ

 頭の中に浮んだら、設計サバイバル術の「小道具」を組み合せていきます。図3が、その組み合せの一例です。ここでは樹脂箱に、「底抜き」の設計サバイバル小道具を組み合わせ、基板取り付け部を設計します。

図3 樹脂製シールドボックスを設計する組み合わせ例

出典:ついてきなぁ!加工部品設計で3次元CADのプロとなる!(日刊工業新聞社刊)

 そして、図4のようにシールドボックスとして具現化しました。本体取り付け部には、三角リブを付けます。

図4 樹脂製シールドボックスのイメージを具現化(案1)

出典:ついてきなぁ!加工部品設計で3次元CADのプロとなる!(日刊工業新聞社刊)

甚

基板取り付け部は、下底を抜いた方が製造しやすいんだよ。


 これで一気にベテラン設計者へ近づくことができたでしょう。ひとまず、なんとなく、「格好いい!」と思っていただければ幸いです。

良

『頭の中に浮んだら、設計サバイバル術の小道具を組み合せていきます』……この言葉、とても斬新(ざんしん)ですねぇ。


甚

そうだ、良君! 後で説明すんけど、“設計”とは組み合わせの技術だ。よく覚えとけ! これは、命令だぜぃ!


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