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» 2010年04月20日 00時00分 公開

自分でできる知的財産権調査! カンタン3段ステップ検索方法をマスターする自社事業を強化する! 知財マネジメントの基礎知識(4)(2/5 ページ)

[野崎篤志/ランドンIP,@IT MONOist]

知的財産権情報の調査の基本的な考え方

それでは、実際の調査方法について解説していきたいと思います。ここからは特許調査の話を中心にさせてもらいます。

さて、皆さんは日ごろ特許電子図書館などにアクセスして特許調査を行っていると思いますが、どのように特許調査を行っていますか?

わたしはキーワードを使って調べています。たまにですが展示会などに行って、競合他社から「おっ!」と思う新製品が出ていたら、競合他社の会社名や社長名で調べることはあります。

〜〜ほかの受講者もうなずいています。〜〜

なるほど。皆さん、ほとんどの方がキーワードを主体に検索を行っているんですね。

それではちょっと特許調査から話が離れますが、初めて行く大型書店で、欲しい本――仮に『任天堂のWii開発ストーリー』を探している場面を思い浮かべていただきたいと思います。あなたなら、どのような行動を取るでしょうか?

(初めて行く大型書店なら、まずはフロアマップを確認して、どこら辺にその本があるかアタリを付けるかなぁ……)

初めて行く大型書店で、いきなり欲しい本の場所が分かる人はいないと思います。たいていの人はフロアマップなどを確認して、今回欲しい本「任天堂のWii開発ストーリー」が「ビジネスエリアにあるかなぁ、それとも理学・工学エリアにあるかなぁ……」と推察して、そのエリアに向かって本を探します。あとはそのエリア一角に並んでいる本のタイトルを眺めて、関連しそうだと思った本は手に取ってパラパラとめくってみるのではないでしょうか(注)。

注:最近では書店内に書籍検索システムが置いてありますので、そこで「任天堂」とキーワード検索すれば探せてしまうのですが、特許調査の基本的な考え方を説明させていただくために、書店に書籍検索システムがないということにしています。


本探しと知的財産権情報探しのアナロジー

実は、先ほど説明した本探しのプロセスで重要なのは「フロアマップ」を確認するというところです。なぜかというと『任天堂のWii開発ストーリー』という自分が欲しいと思っているタイトルにズバリ該当する本があるとは限らないからです。例えば『Wii誕生秘話』というタイトルの場合、「Wii」は共通ですが「開発ストーリー」と「誕生秘話」は異なります。よってキーワード検索でヒットさせることはできません。

(なるほど。確かにキーワードだとちゃんと一致しないとヒットしないもんなぁ)

ちょっと専門的な言葉を使いますと、「フロアマップ」というのは欲しい本の内容を上位概念で整理したものです。つまり「任天堂のWii開発ストーリー」は任天堂という企業の製品開発戦略に関する内容ですから、エリアとしては「ビジネス書籍」のエリアか、より技術的な話であれば「理工・工学書籍」のエリアに分類分けされると予想できます。

(そうすると特許を調べる際も、キーワードだけじゃなくてフロアマップのようなものを使って調べた方がいいということか。特許でいうとフロアマップって……?)

さて特許調査に置き換えてみましょうか。実は特許調査における書店のフロアマップは特許分類のIPC・FIです。なぜ特許分類を使った方がいいのでしょうか?

いまから出す質問をちょっと考えてみてください。

任天堂が出願したDSやWiiのような電子ゲーム機の特許を調べたい場合、ゲームという単語だけでは欲しい特許が漏れてしまう可能性があります。それではゲームという単語以外にどういう単語を使えばいいでしょうか?

(ゲームの同義語か……う〜ん、ゲームの同義語……そんなのあるかなぁ……)

皆さん、なかなか困った様子ですね。そこのあなた、思い浮かびましたか?

いや、ゲーム以外に思い浮かびません。「遊具」とか「娯楽」といった単語を思い浮かべたのですが、ちょっと電子ゲーム機とは少し違うし……。

そうですね、結構難しかったと思います。答えをいってしまうとゲーム以外に適切な単語はありません。ただしゲームという単語だけでは漏れてしまいます。そのときに利用すべきものが特許分類です。

参考:IPC・FI・Fタームについて

 特許分類IPC・FI・Fタームについては以下のURLで解説してありますのでご参照ください。

 IPC・FIにはサブクラス・メイングループなどといった呼び方がありますが、別に呼び方を覚える必要はありません。あくまでも利用できるようになれればいいのです。

「検索式の基本3パターン」と「カンタン3段ステップ特許検索方法」

それでは本日の一番の重要なポイントである「検索式の基本3パターン」と「カンタン3段ステップ特許検索方法」の2つについて説明します。

図2 特許検索の基本3パターン 図2 特許検索の基本3パターン

「特許検索の基本3パターン」は図2に示したとおり、特許検索にはキーワードだけの場合と、キーワードと特許分類の組み合わせ、特許分類だけの3通りがあります。もちろん、この3パターンに出願人(企業名)や発明者(開発者名・研究者名)を掛け合わせたり、出願日や公開日といった日付で限定したりする場合もありますが、基本形はこの3パターンです。

わたしのおススメはパターン(2)のキーワードと特許分類の組み合わせです。パターン(1)のキーワードだけでは、これまで述べてきたとおり欲しい特許が漏れてしまう可能性があります。一方、パターン(3)の特許分類だけですとヒットする特許の数が多くなってしまい、内容を確認するのに時間がかかってしまいます。ちょうどいいのがパターン(2)なのです。

特許検索の基本3パターンのパターン(2)をおススメしたところで、このパターン(2)の特許検索を行うためのステップを図3にまとめました。実際の特許検索例を通じて、この3段ステップ特許検索方法をマスターしていただきたいと思います。

図3 カンタン3段ステップ特許検索方法 図3 カンタン3段ステップ特許検索方法

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