製造業×品質、転換期を迎えるモノづくりの在り方 特集
連載
» 2010年08月30日 00時00分 公開

タグチメソッドにおける「未然防止」への戦略って?本質から分かるタグチメソッド(2)(3/5 ページ)

[長谷部 光雄/タグチメソッドコンサルタント,@IT MONOist]

品質の新しい定義に慣れること

 次に考えるのは、理想状態を定義することです。消費者の立場で考える工業製品の理想とは何でしょう。簡単にいえば「いつでもどこでも買ったときと同じ機能が維持されていること」です。

 わたしたちは普段、どんな状況でも安心して使える製品に対して「優れた品質」という評価をします。逆に新品時には問題なくても、少し使い込むと不具合が発生する製品に対しては「品質が悪い」という評価をします。つまり品質とは、いつでもどこでも買ったときと同じという理想状態にどれだけ近いかを示す指標なのです。こう考えると、理想状態からのズレ量で品質が定量化できるということが分かります。言い換えると、品質は理想状態から外れることで生じる損害額で表現できることになります。

タグチメソッドの第2原則:品質の新しい定義に慣れること


 理想状態からのズレが少ない製品なら、いろいろな使い方をしても、総合的に高品質のはずです。要するに、品質とは損失の少なさと定義できるのです。いろいろな使い方をしても損失が少ない性質を、ロバスト性といいます。日本語では頑健性といういい方が近いでしょう。別の言葉では、「容易にへこたれない、したたかな性質」ともいえます。

 品質を損害額で表現するという考え方は、素直には納得できないかもしれません。いままで「品質」は、良い方向の意味で使ってきた言葉であるため、損失額のような負の側面とはなじまないと考えられてきたからです。そのような人には、違和感のある定義と思います。

 しかし、考えてください。従来の定義では、品質の定量化が難しかったのです。良さの程度を数値化することは困難でした。しかし、悪さの程度を損失額という金額で表現することで、品質の概念が非常に明確になります。従って、数値化も比較的容易になります。このようにメリットの大きい考え方ですから、ぜひ慣れてください。

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