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» 2010年10月05日 00時00分 公開

中国リーダー企業と“フォロワー”日系製造業の格差今知っておくべき中国の製造事情(4)(2/3 ページ)

[藤井 賢一郎/アスプローバ,@IT MONOist]

置いていかれる“フォロワー”日系企業

 サンテックパワーが目指すグローバルでの先進的なIT化の取り組みを見るにつけ、日本の「失われた10年」で消滅していった企業のことを思い浮かべます。それは中小企業にととまらず、大手企業も含めて枚挙にいとまがありませんが、彼らが消えていった要因は「環境の変化についていけなかったこと」に集約できるでしょう。

 「生き残るものは、強いものではなく、変化に対応できるものである」という言葉がありますが、この言葉は企業経営の世界でも自明の理論となってきているようです。

 前述の通り、筆者はいくつかの企業の依頼を受けて、その企業から見るとサプライヤの位置付けにある中国の日系工場を数多く訪問させていただきました。

 以前に言及したとおり、日系のトップ製造業は、中国内販にシフトしつつあります。中国の国内市場でビジネスを行うためには、現地のサプライヤからの安くて良質な部品の提供は必要不可欠の条件となってきています。

 また、当社の顧客企業にヒアリングしても最近は、自社の生産スケジュールが立てられても、必要資材が予定どおりに届かず、結果的に生産を遅らせなくてはならなくなり、販売の機会損失になっているという嘆きをよく聞きます。

 サプライヤへの生産システムの指導も欠かせませんが、日本企業に見られるような系列関係がない取引先であることもあり、なかなか思い通りにはいかないようです。そこで、筆者に問い合わせの連絡を寄せる顧客企業の方々は、当社のような第三者から実情を把握して良い提案をしてほしいという思いを持たれるようです。

 日系のサプライヤといっても、訪問前にその工場のことを知るためにWebページを調べてみると、各社とも日本では大手の製造業といわれる企業の方々です。そんな企業の生産システムがあまりにも「プア」なものであることに筆者は驚きました。

 1社2社ではなく、数百人規模の工場ではほとんどすべてに共通して、スタンドアロン構成のシステムしか存在していません。辛うじて、工場設立時に日本本社から移植したシステムが存在しても、まったく使われていないような状況です。こんなことでよいのでしょうか?

 筆者はシステム屋であるために、ともすればシステムの売り込みのためと、うがった目で見られるきらいがあったので、今回は一切製品の紹介などはせずに、お話のみを伺ったつもりです。

 ここでも、以前日本の中小製造業で議論された内容がまた論じ合われているのです。「生産システムの導入の前に現場改善のコンサルティングが必要」という決まり文句です。

 しかし、製造現場の離職率が高い中国の工場では、システム化による標準化をこそ急ぐべきなのです。個人に依存する日本的な製造改善は、作業者が変われば何も残らず、一からやり直しです。

 現在、Excelなどの表計算ソフトで行っているそれぞれの業務は、担当者が転職した場合、果たしてどうなるでしょうか?

 多くの転職者は引き継ぎなどといったしゃれたことはしていかない傾向にあるようです。中国では中国の現場に合わせた生産改善が不可欠だとわれわれは主張しています。

 もちろん、IT化にも問題がないとはいいません。一度カットオーバーしたシステムは、構築にかかわったシステム担当者が退職してしまうと引き継がれることもなく、止まってしまうことが多くあります。引き継ぎがままならないため、ゼロから運用定着とマニュアル作成を行う必要があり、そんなに多大な時間を掛けられないというのがその理由です。

 成長を続ける中国のトップ民営企業の方が、過去のIT化のしがらみがないだけに、時代に合った変身が可能となっているようです。これまで、居心地のよい環境の中で運営してきた日系中国工場は、いまこそビジネスモデルだけでなく、マネジメントのあり方、運営の在り方も改革しなければ、大胆な動きが得意な新興国企業の動きに付いていけない時代がくるでしょう。

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