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» 2010年10月21日 12時00分 公開

電気回路設計者向け 実践! EDAツール活用法(7):プリント基板を作ってみたらダメだった、では困る――製造性解析とは? (2/2)

[サイバネットシステム EDA事業部  岩間 豊,@IT MONOist]
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2. CAM(キャム)って?

 プリント基板の製造は、主にCADから出力された製造用データを製造の各工程用に加工編集し、行われます。この製造用データの加工編集をCAM(Computer Aided Manufacturing)と呼んでおり、このソフトウェアをCAMツールと呼びます。CAMの作業は通常、プリント基板を製造する工場内で行われます。

 このCAMツールは製造データの加工編集だけでなく、製造性の問題を検出するMRC(Manufacturing Rule Check:製造ルール検査)という機能があり、これで発見された問題点はCAMの編集機能で修正されますが、修正で対応できない問題はプリント基板設計者に修正を依頼し、再度データを出力してもらうことになります。この場合製造開始が遅滞し、納期遅れとなることもあります。

3. DFMとは?

 DFM(Design for Manufacturing)とは、設計の段階でMRCを実施し、製造上の問題をあらかじめ検出し修正することで製造工場からの要求による後戻り作業を削減し、さらに製造歩留まりも考慮するなど設計品質を向上する方法です。

 しかし、PCB-CADには、DRC(Design Rule Check)と呼ばれる設計ルール検査の機能はありますが、DFMに関する機能は十分とはいえず、目視検査で対応せざるを得ません。この目視検査は時間がかかるうえに検査モレがあり、さらに設計者の経験やスキルに大きく左右され、検査項目や判断基準の統一が困難です。そこでDFMツールが必要になります。

4. DFMツールの活用事例

 ここではDFMツールである「CAM350」(Downstream Technologies社製)を使用して設計データ中のアシッドトラップを検出し、さらにこれを自動修正した例を図で示します。

photo 図4 アシッドトラップ修正

5. なぜ設計者が製造の心配をしなければならないのか?

 プリント基板の製造上の問題が工場で発見され、工場内のCAM修正では対応できない場合、工場からプリント基板設計者に問い合わせや修正依頼が入ります。このやりとりの弊害は、製造納期が遅れてしまうことだけではありません。修正依頼を受けたプリント基板設計者は当然、次の別の設計に着手しはじめています。そのため、修正依頼が入ると、後に控えている設計に遅れが生じてしまいます。また、こういったことが繰り返されると、設計の技術や品質の問題ととらえられ、顧客からの信用を失うことにもなりかねません。

6. 最後に

 プリント基板の設計は電気的な特性やノイズ対策だけでなく、製造や組み立てまでを考慮しなければならず、長年の経験や広い知識、スキルが必要となりますが、EDAツールを活用することでこれらの負荷を大幅に軽減することが可能です。時には力ずくで課題を解決することも必要だと思いますが、適材適所ならぬ「適ツール適所」でスマートに対処しましょう。

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