制御設計の基本! ボード線図を極めよ独学! 機械設計者のための自動制御入門(9)(2/4 ページ)

» 2010年12月17日 00時00分 公開
[岩淵 正幸/技術士(機械部門),@IT MONOist]

この2つの伝達関数からなる掛け算とちゃうん?


そういわれればそうだね


図4(再掲)

確かに……


じゃあ次、PID制御にいこか


もう次にいっちゃうの!? PI制御のボード線図の話はまだ聞いてないよ


あとで、まとめて話すわ。勉強も料理と一緒で、下ごしらえが大事なんや。PID制御はどうなる?


関西人はせっかちだからいやなんだ……


なんやて? 叔父さんはれっきとした湘南ボーイやで。今年のノーベル化学賞もろた根岸博士は、叔父さんの中学、高校の先輩やで……どや、すごいやろ


なにがすごいの? おじさんがノーベル賞もらったんじゃないじゃん……


誰の近くにもすごい人がいるってことや。普段はそれに気が付かへんだけや。草太のお父さんだって、案外、本当はすごい人かも知れへんで


分かった、分かった……それで……PID制御の場合は図5に示すように、比例要素と積分要素と微分要素を並列に加算したものだから……


図5 PID制御のブロック線図

KDが微分要素の係数やな


さらに変形して


今度は分子がsの2次式となったよ


この2次式が因数分解されるとしようか、すると


ずいぶん都合のいい話だね。因数分解できるという保証はどこにもない


いいの、いいの。後で分かるから。ついでに、比例と微分からなるPD制御もやっておこうか。PD制御の場合は……


なんか分かってきたぞ。いずれも、比例値Kとラプラス演算子sの一次式(τ・s+1)と積分要素1/sの掛け算から構成されているんだ


ついでにいうと、ステアリングの伝達関数G2も実は、こう書ける


これについては、後でまた話す機会があるやろ。とにかく、伝達関数の基本形は、これに微分のsを含めて次の5つということが分かった。 K、s、1/s、1+τ・s、1/(1+τ・s) つまり多くの伝達関数はこれらの掛け算で表すことができるんや。実際の設計ではこれに『無駄時間遅れ 』やsの2次以上の高次の式も現れるけど、学習の基礎知識という意味ではこれくらいで十分と思うで


この5つの要素のボード線図が理解できれば、あとはそれらの足し算、引き算を使って求めることができるっていうこと? でも、ボード線図の足し算ってどういうことだっけ?


なんや、なんや。それでも大学院生かい。だから日本の科学技術のレベルが落ちてきたっていわれるんや


独り言だよ、独り言。ちょっといってみただけだよ


それなら、説明してみてや


ボード線図って横軸は周波数ωの対数表示だよね。そしてゲイン特性の縦軸は20・loG(|G|)でしょ。伝達関数G1の、あるωのゲインa=20・loG(|G1|)と、同じωの伝達関数G2のゲインb=20・loG(|G2|)を足し合わすっていうことは……、なんだ、G1とG2のゲインの差だけG1のグラフが上下するだけじゃん。つまりG1とG2のゲイン曲線を足し合わせると図6のようになるんだ。位相も同じだよ


図6 ゲイン曲線の加算

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