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» 2010年12月27日 00時00分 公開

FPGAにCPUを内蔵するいくつかのアプローチFPGA Watch(5)(2/2 ページ)

[堀内 伸郎 日本アルテラ株式会社,@IT MONOist]
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プロセッサIPはソフトウェア視点のサポートが肝

 ソフトコアプロセッサIPに対する一般的な不安はまだまだ多いと思います。特に、ソフトウェアの開発環境、OSの対応が気になるところでしょう。極端にいえば、ソフトウェア開発の立場としてその2点さえ同意できれば、プロセッサIPの使用に対する障害が大幅に減るのではないでしょうか。

 例えばアルテラ社の場合、ソフトウェアの統合開発環境(IDE:Integrated Development Environment)は、EclipseのフレームワークにGNUとアルテラ社独自ツールを組み込んでいるため、ほかのEclipseベースの開発ツールと同様の“Look&Feel”で使用できます。いまやEclipseは、業界標準といってよいほど各社が採用していますので、安心感が大きくなるのではないでしょうか。

 では、OSについてはどうでしょうか。小さいシステムでソフトウェア処理(プロセッサの役割)が小さい場合は、独自性の高いOSで十分な場合もあります。例えば、イーサネットに対応するためにTCP/IPのサポートが必要な場合、特定のミドルウェアがあればよいのであれば、OSの種類にはこだわらなくてもよいでしょう。一方、少し複雑なリアルタイム処理を行いたい場合やソフトウェアで処理する機能を統合したい場合には、使い慣れた、あるいは実績のある、また再利用できるミドルウェアやライブラリが豊富なOSを望むでしょう。このようなニーズに対して、FPGAのプロセッサでは、各種リアルタイムOS(特に、日本ではITRON準拠のリアルタイムOSが重要です)や、昨今ではLinuxを実装することが可能になっています。ここにもFPGAベンダから提供されるプロセッサIPコアを使用するメリットの1つがあります。

レガシーなソフトウェア資産を長生きさせる

 製品寿命の長い通信機器や産業機器において、レガシーなソフトウェア資産を残しつつ、FPGAによるトータルコスト、消費電力、機能追加などの利点を活用するためには、そのソフトウェアの基盤として実装されているOSの継承が必要になるでしょう。

 このような場合、実は“OSさえ同一にできれば、プロセッサアーキテクチャを変えることは問題にならない”といった例が数多くあります。例えば、アルテラ社ではこのようなニーズに対応すべく、新たなソフトコアプロセッサを製品リリース予定です。その製品はミップス社の「MIPS-32」アーキテクチャを採用しており、例えば、VxWorks、QNX、Integrity、Windows Embedded CEなどの組み込みOSを、FPGAベースのプロセッササブシステムで使用できるようになります。OSが、プロセッサアーキテクチャの差を吸収してくれると考えれば、PowerPCやARMのほか、国内半導体メーカーの各種プロセッサのユーザーでもこの恩恵を受けることができます。



 今回は、FPGAにおけるプロセッサ利用について、特にソフトコアプロセッサの利点を紹介しました。FPGAベンダが直接サポートするものはソフトウェア開発やOSのサポート面でも安心して採用できます。すでに、多くの実システムに組み込まれ量産されています。もちろん、外部プロセッサチップ+FPGAという構成も、機能分散型マルチプロセッサの応用でさらに柔軟で強力なシステムを考えることができます。組み込みプロセッサ+FPGAについては、今後も取り上げたいと思います。(次回に続く)


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