MeeGo for IVIをLive USBで体験するIVIシステムの標準化を目指す「GENIVI」【後編】(1/2 ページ)

GENIVI AllianceがIVIの次期リファレンスのソフトウェア基盤に採用したMeeGo。Live USBで「MeeGo for IVI」を実際に動かしてみよう

» 2011年03月03日 16時30分 公開
[K.I.マヘーシ,@IT MONOist]

IVIシステムの標準化を目指す「GENIVI」

 前編「車載インフォテインメントシステムとは?」で説明したように、IVI(In-Vehicle Infotainment:車載インフォテインメント)向けにオープンなインフォテインメントプラットフォームの幅広い採用を目指し発足された非営利団体が「GENIVI Alliance」です。

 GENIVI Allianceは、2009年3月に自動車メーカーなどが中心となり設立されました。オープンソースのIVIリファレンスプラットフォームを開発し、その普及・促進を目指し活動しています。GENIVIは、主に以下の3つの活動を行っています。

  • 要件の整備
  • リファレンスプラットフォームの実装
  • 認証プログラムの提供

 また、上記以外にもオープンソースIVIコミュニティの育成も実施しています。GENIVI Allianceはこうした活動により、「開発サイクルの短縮」「製品の短期市場投入」「IVI機器およびソフトウェア開発に掛かるコスト削減」を実現しようとしています。

 GENIVI Allianceの設立当時、メンバー企業は8社のみでしたが、現時点(2011年2月)ではその数が100社を超え、世界中に広がっています。また、メンバー企業ですが、現在では自動車エレクトロニクスのサプライチェーンのすべてのレベルにまで広がっています。GENIVI Allianceはオープンであるため、自動車、家庭用電化製品、通信、アプリケーション開発、エンターテインメント産業など、IVIシステムおよびIVI関連製品の開発に関心のあるあらゆる企業や組織・団体が加盟することができます。

関連リンク:
GENIVI Alliance

GENIVI Allianceの組織構成

 GENIVI Allianceの組織構成は図1のとおりです。

GENIVI Allianceの組織構成 図1 GENIVI Allianceの組織構成

 「理事会」の下に3つの委員会「戦略委員会」「技術委員会」「マーケティング委員会」が存在します。戦略委員会は、ロードマップの決定や各種連絡などを行っています。技術委員会は、リファレンスプラットフォーム、自動車の接続性、ネットワークの構築、認証プログラムの提供などを行っています。マーケティング委員会は、GENIVI Allianceの広報やアウトリーチなどを行っています。

IVIリファレンスプラットフォームの構成

 GENIVI Allianceが掲げるIVIリファレンスプラットフォームの構成イメージを図2に示します。

IVIリファレンスプラットフォームの構成 図2 IVIリファレンスプラットフォームの構成

 “アライアンス領域”は、「カーネル(Linux)」「スタック(MeeGo)」「ミドルウェア仕様」といった共通仕様で構成されています。アライアンス領域を共通化することで、自動車メーカーおよびサプライヤーは、IVIシステムの差別化部分の開発に専念できるほか、短期市場投入、開発コスト削減、コードの透明性の担保など、多くのメリットを享受することができます。

 一方、IVIシステムの差別化を実現する領域としては、「APPS(アプリケーション)」「OSV(OSベンダ)機能拡張」「LIBS(ライブラリ)」「HMI(ヒューマンマシンインターフェイス)」などが含まれる“各自動車メーカーとサプライヤー領域”があります。ほかのIVIシステムとの差別化領域として、自動車メーカーやサプライヤーが自由にカスタマイズできます。

GENIVIのリファレンスプラットフォームであるMeeGo

 GENIVI Allianceが開発した最初のIVIリファレンスプラットフォームは、2010年1月にリリースされました。ソフトウェア基板にはインテルが開発したLinuxベースの「Moblin」が採用され、インテルのAtomプロセッサ(のみ)をサポートしていました。

 次のリリースでは、前述のMoblinとノキアの「Maemo」を統合し誕生した「MeeGo」を採用することになりました(プレスリリース)。ご存じのとおり、MeeGoはLinux Foundationの管轄の下、オープンソースプロジェクトとして展開されているため、これを機にGENIVI Allianceと、Linux Foundationなどのオープンソース団体/オープンソースプロジェクト(MeeGoなど)との結び付きが強まりました(実際、GENIVIのメンバー企業がオープンソースコミュニティなどに参加、貢献しています)。

 そして2011年1月、米国・ラスベガスで行われた「2011 International CES」で、GENIVI Allianceはマルチアーキテクチャ対応リファレンスプラットフォームのデモを披露しました。このプラットフォームは最新の「MeeGo v1.1 for In-Vehicle Infotainment(IVI)」をベースにした「GENIVI Apollo」と呼ばれるもので、インテル Atomプロセッサ E6xxと、ARM Cortex-A8プロセッサの2つのアーキテクチャ上に実装されました。

 このMeeGoというオープンソースプロジェクトは、Linuxベースのプラットフォーム開発を行っており、ハンドセット、ネットブック、タブレット、インターネットTV、車載インフォテインメントシステムなどの幅広いデバイスを強化することを目指しています。現在、MeeGoの公式サイトでは、各デバイス向けのイメージがダウンロードできるようになっています。現在(原稿執筆時)、MeeGoの最新バージョンは「1.1」で、6カ月に1回のペースで最新バージョンがリリースされます。

 以降で、GENIVI Apolloで採用されているMeeGo v1.1 for IVIをPCで体験する方法を紹介したいと思います。この機会にぜひ試してみてください。

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MeeGo

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