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» 2011年04月01日 00時00分 UPDATE

普及の鍵は、ミリ波レーダーの低価格化:大衆車にも求められる「予防安全」 (6/7)

[本誌編集部 取材班,Automotive Electronics]

BiCMOSで集積度を高める

 一方、Freescale社が開発したSiGeプロセスは、バイポーラとCMOSの両方を利用できるBiCMOSプロセスである。0.18μmのCMOS プロセス「HiP6」をベースに開発したことから、プロセスの名称は「HiP6MW」となっている。同社は2010年11月から、複数の企業に対して、 HiP6MWを用いた77GHz帯ミリ波レーダーの送受信ICチップセットの試作サンプルを納入している。2012年末までに、同チップセットの量産品の開発を完了する計画である。


図3ミリ波レーダーの回路ブロック図(提供:フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン) 図3 ミリ波レーダーの回路ブロック図(提供:フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン) SiGeプロセスで製造したFreescale社の送受信ICチップセットを用いている。

 図3は、同社の試作サンプルを用いたミリ波レーダーの回路ブロック図である。送信は1チャンネル、受信は5チャンネルとなっている。また、ミリ波の送受信を行うRFフロントエンド回路は、送信と受信を別々のICで行っている。これは、送信回路と受信回路の間の絶縁(アイソレーション)を確保するためである。

 フリースケール・セミコンダクタ・ジャパンのプロダクトマーケティング本部 RASG製品部でマネジャーを務める島田和昭氏は、「Freescale社のSiGeプロセスは、0.18μmのBiCMOSプロセスであることから、送信ICの内部に、変調器やPLLなどを集積することができる。また、複数の受信チャンネルが必要になるミリ波レーダーについても、受信ICの内部に、チャンネル数に対応するだけのミキサー回路とIF(中間周波数)アンプを集積して対応することができる」と述べる。

 SiGeプロセスを用いたミリ波レーダー送受信ICの製品化では、Infineon社がFreescale社に先行した。その理由としては、 Infineon社がBosch社向けに絞って製品開発を進めていたことが挙げられる。一方、Freescale社は、複数の顧客に対してSiGeプロセスを提案していたこともあって、製品化の時期でInfineon社に遅れをとった。しかし、「これまでの提案活動の甲斐もあって、多くの顧客に、集積度の面で優れるBiCMOSプロセスの利点を理解してもらえるようになった。現在、複数の顧客が採用に向けた評価を行っているのがその証拠だ」(島田氏)としている。

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