eT-KernelとeBinderが富士通セミの車載向け画像LSIの開発キットに採用車載表示システムを短期間・低コストで開発

イーソルのT-Kernel拡張版リアルタイムOS「eT-Kernel」と開発環境「eBinder」が、富士通セミコンダクターの車載機器向け画像表示LSI「MB86R11」のソフトウェア開発キットに標準採用された。

» 2011年04月05日 11時40分 公開
[八木沢篤,@IT MONOist]

 イーソルは2011年4月5日、同社のT-Kernel拡張版リアルタイムOS「eT-Kernel」と、eT-Kernelの開発環境「eBinder」が、富士通セミコンダクターが開発したARM Cortex-A9コア搭載の車載機器向け画像表示LSI「MB86R11」に対応し、同LSI向けソフトウェア開発キットに標準採用されたことを発表した。同社は、eT-KernelとeBinderの利用により、デジタルダッシュボードやカーナビゲーションシステム、運転手の視覚補助を行う「全周囲立体モニタシステム(注1)」などの車載表示システムを、高いリアルタイム性と信頼性を実現しながら、短期間・低コストで開発できるとしている。

※注1:全周囲立体モニタシステム:富士通研究所が開発した運転手の視界補助向けに車両全周囲を任意の視点でリアルタイムに表示する映像処理技術。関連記事「機器をカラダで操作するジェスチャ入力に注目してみた」でも取り上げている。


 MB86R11上への移植が完了したのは、eT-Kernelの中でもフットプリントが小さくリアルタイム性を保持する「eT-Kernel/Compact」。eT-Kernelには、POSIX仕様準拠リアルタイムOSを含む、システム規模と用途に合わせた4つのプロファイルを備える他、マルチコアに対応する「eT-Kernel Multi-Core Edition」の利用も可能なため、将来的にプロセッサを変更する場合でも、ソフトウェア資産の共通化により効率的な開発ができるという。

 さらにeT-Kernelは、ARM Cortex-A9コアに搭載された、マルチメディア/信号処理アルゴリズムを高速化するARM NEONテクノロジー(注2)に対応しているため、オーディオ、ビデオ、3Dグラフィックスなどの高いマルチメディア機能を必要とする機器にも最適だとしている。

※注2:ARM NEONテクノロジー:ARM Cortex-Aシリーズのプロセッサに対応する128ビットSIMDアーキテクチャ拡張機能。ビデオ・エンコード/デコード、2D/3Dグラフィックス、オーディオ/ボイス/スピーチ処理、画像処理などのマルチメディア/信号処理アルゴリズムを高速化するもの。


 今後、市場のニーズに応じ、MB86R11内蔵コントローラ向けのネットワークやファイル、USB関連のドライバ、各種ミドルウェアの開発を予定。また、プロトタイピングに適した新ソフトウェアプラットフォーム「eT-Kernel SDK」もMB86R11をサポートする計画だという。これにより、洗練されたGUIやオーディオ機能などをより簡単に・より早く実現できるとしている。


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