自由度と、リンク機構の基本のいろいろメカメカリンクで設計しよう(1)(1/3 ページ)

今回は4節リンクのうち、2次元動作について解説する。「自由度」や「対偶」についてあらためて確認していく。

» 2011年04月15日 11時35分 公開

 今回のシリーズでは、数あるリンク機構の中でも4節リンクに関係するものに特化して解説します。

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リンク機構とは? 

 リンク機構は、3次元的なXYZ座標系を横断する動作も可能ですが、読者の皆さんが感覚的に理解しやすい2次元動作のリンク機構について解説を進めていきたいと思います。

 もちろん、2次元動作だから機能が劣るわけではありません。3次元動作に比べると信頼性が高く、さまざまな機械に用いられているので、安心してください。

 「リンク機構って何?」という人がいるかもしれません。

 例えば、小学生高学年以上を対象としたプラモデルのようなロボットの歩行装置に使われるものをイメージするといいでしょう。

 下記の写真の歩行ロボットは、1つのモータを介して、左右の足(リンク機構)が左右交互に動作することで、歩くように前進するものです。

歩行ロボットの例 写真1 歩行ロボットの例

メカメカリンク機構設計の現状

 製品開発では、当たり前のようにモータなどのアクチュエータや各種センサーを多用して設計することが一般的で、メカトロという言葉自体が古臭く感じるほどです。

 ちなみに、「メカトロ」とは「メカトロニクス」の略で、「メカニクス」(mechanics:機械工学)と「エレクトロニクス」(electronics:電子工学)を合わせた和製英語です。

 近年では低価格のアクチュエータやセンサーが容易に入手できるため、少し複雑な動作があると、それを実現させるために簡単にアクチュエータやセンサーを増やして設計をする技術者も多いと思います。

 しかし、安易にアクチュエータやセンサーを増やすと、信頼性の低下につながることも事実です。

 つまり、機械部品や電子部品は、どちらにも寿命があり、偶発的に故障も発生するからです。

 それぞれの一般的な故障原因を次に列記します。

  • 機械部品の故障原因……摩耗や折損、接続部(ねじや溶接など)の外れなど。
  • 電子部品の故障原因……機械部品に比べると温度や湿度、静電気など使用環境が寿命に大きく影響を与えます。さらにハーネスは、断線・ショート・接触不良などの可能性を秘めます。

 机に向かって仕事をしていると、工場で稼働する機械についての知識や認識に誤解を持つ場合も多いと思われます。工場の生産機械というと最新鋭で高性能なアクチュエータやセンサーばかりを使った機械装置をイメージしがちですが、中には半世紀前に設計され、現在でも継続して稼働しているものもたくさんあります。

 もちろん定期的にメンテナンスを行った成果ですが、それらの機械をよく観察してみると、重厚でメカニカルな構造をしていることが分かります。そこには無数のセンサーやアクチュエータが配置されているわけではなく、1つのアクチュエータだけでリンクやカム機構を用いてモーションコントロールしていることに驚きさえ覚えることでしょう。

 部品点数が増えれば増えるほど、信頼性は下がります。「いかに簡単な機構で、それを実現できるか」が、設計者の腕の見せ所です。

 高信頼性のポイントは、必要最小限の電気部品に簡素なメカニカルな構造を組み合わせることなのです。メカニカルな構造を具現化するために、リンク機構やカム、歯車やベルトチェーンなどの機構を組み合わせて実現しているのです。

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