　富士通セミコンダクターは2011年5月30日、自動車業界におけるグローバル化による多種多様な要求に対応するため、16ビットマイコン「MB96600シリーズ」、32ビットマイコン「MB91520シリーズ」の計113製品を開発し、同日より順次サンプル出荷を開始したことを発表した。同社が昨年（2010年）より提供を開始している32ビットマイコン「MB91570シリーズ」「MB91580シリーズ」「MB91590シリーズ」に、今回発表された製品群が加わることで、ボディ系、ダッシュボード系、セーフティ系、インフォテイメント系、パワートレイン系といった、全ての自動車向けアプリケーションに対応できるとしている。

　今回発表された製品群は、環境に配慮し、従来製品より25％以上の大幅な低消費電力を実現。先進国向けの多機能なシステムから新興国向けのシンプルなシステムまで幅広く対応できる製品ラインアップを展開する。また、全製品群で、システムコストの削減に貢献するデータ用フラッシュメモリ、低電圧検出回路、CR発振回路、ハードウェア・ウォッチドッグ回路を標準搭載。加えて、ソフトウェア負荷を低減するADコンバータ、自動チェックサムや自己診断機能などを備えた、LINハードウェア・アシスト機能も標準搭載する。

図1　自動車向けマイコンラインアップ

　高機能化と安全性の双方が求められる32ビットマイコン群は、多機能化に伴い増加するセンサなどの外付け部品を柔軟に接続できるよう、I²C、SPI、UART、LINから選択可能なマルチファンクションシリアルインタフェースを12チャネル（100ピン以上の製品）搭載。さらに、マイコンの機能安全として、メモリエラー検知訂正機能、バスエラー検知機能、ポート入出力保護機能などの診断機能を標準搭載する。

　同製品群の主な特長を以下に示す。

豊富なラインアップで幅広いECU開発に貢献　
自動車業界からの多種多様な要求に対応するため、16ビットマイコン MB96600シリーズでは、48～144ピンのパッケージ群、32～384KBのフラッシュメモリ群の組み合わせにより計53製品を、また、32ビットマイコン MB91520シリーズでは、64～176ピンのパッケージ群、256KB～1MBのフラッシュメモリ群の組み合わせにより計60製品を取りそろえる
シームレスな開発環境でソフトウェア開発の効率化に貢献　
ソフトウェア開発の効率化に貢献するため、同製品群はAUTOSAR仕様に準拠したMCAL（Micro Controller Abstraction Layer）を順次提供。MB96600シリーズはHIS（Hersteller Initiative Software）推奨仕様に準拠しつつ、メモリサイズと性能を最適化したスケーラブルな「AUTOSAR R3.0/3.1」、MB91520シリーズは「AUTOSAR R3.1/4.0」に対応。また、同製品群は、16／32ビットマイコン共通でJPwire対応のエミュレータ（MB2100-01-E）を使用することにより、シームレスな開発が可能
自動車ECUシステムに最適な周辺機能　
同製品群は、プログラム用フラッシュメモリとは別に、データ用フラッシュメモリを搭載。外部EEPROMを削減でき、システム開発の効率化に貢献する。また、さらなる周辺部品の削減として、外部リセット用ICを削減できる低電圧検出、CR発振回路、ハードウェア・ウォッチドッグ回路の搭載や、ソフトウェア設定によりI/Oポートの配置を変更できるI/Oリロケーション機能を標準搭載