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» 2011年06月10日 11時40分 公開

あなたが品質管理で果たすべき役割は何か実践! IE:現場視点の品質管理(3)(3/5 ページ)

[福田 祐二/MIC綜合事務所所長,@IT MONOist]

3.品質管理組織と各職務担当者の果すべき役割

3.1 品質管理組織

 品質管理は、各部門が組織的に総合力を発揮していく活動にすることによって、効果を上げていくことができます。従って、品質管理の実施に当たっては、それに適した組織を確立して、運営していかなければなりません。また、その組織には適切な人材を配置することがまず大切なことです。それには、現状を考慮しつつ、トップが方針をシッカリと出し、チエを働かせて実施していくことが重要です。

 品質管理の実施は、工場の実情によって異なりますので、自社の状況に適した組織を持たなければなりません。また、品質管理を円滑に推進するために、少なくとも次のことを留意して運営していかなければなりません。図1に一般的な品質管理組織の例を示しておきます。

図1 品質管理組織の例 図1 品質管理組織の例

 図1の組織は次のルールで運用されます。

  1. 品質管理推進の最高責任者は、社長もしくは、その相当職である
  2. 品質管理の最高責任者の下には、工場全体の品質管理を扱う専従の品質管理専任スタッフを置くこと。専従のスタッフを置くことが困難な場合は、各部門から選出された委員により構成された委員会で代行してもよい
  3. 各部門に品質管理の担当者を置く。品質管理を担当するスタッフや各部門の品質管理担当者には、これに適した人材を選び十分な教育を行うこと

3.2 機動性の高い品質管理組織とは?

 どんなに立派な組織づくりがなされていても、また、どんなに志の高い品質管理方針が決められていても、状況に応じて素早く、しかも組織的に行動できる機動性の高い組織でなければ、それらは機能しないといっても過言ではありません。優れた品質管理体制の手本として消防署の行動体制に、兼ねてから着目していましたので、参考として紹介します。

 私たちの街の消防署の防火活動や消火活動は、企業の品質管理活動と実によく似ています。“火災の発生”と“不良の発生”への対応の仕方に差はないのではないでしょうか。

例えば……

  • 火災の発生やその兆候がないかの「監視活動」
  • 火災が発生しないように日ごろ行う「啓蒙(けいもう)活動」
  • 火災が発生したときの迅速な対応の「消火活動」
  • 火災が発生した後の実地検証による「原因究明」
  • 消火や監視などを効果的に行うための「道具立て」

“火災”を“不良”に読み替えると、企業の品質管理活動におおむね類似しているのではないでしょうか。防火活動と消火活動が効果的にうまく組み合わされ、システム化されていることに感心せざるを得ません。

 これらのことから、消防署の防火・消火活動の体制を企業内の品質管理活動に当てはめてみると、これらの5項目のうち、どれ1つ欠けても完璧な不良発生防止は図れないということ、また、それぞれの行動(項目)が何らかのつながりを持ち、効果的に迅速に機動する“仕組み”になっていなければならないということがいえます。もし、品質管理活動に不備があるとすると、

  • 活動内容として「監視活動〜道具立て」に至るいずれかの項目にモレがある
  • 各項目の活動が場当たり的で、つながりがない
  • 事が起きてから実施項目や担当者を決めている(活動がシステム化されていない)
  • 関連するあらゆる活動が迅速でない。機動力に欠ける

などが反省事項あるいは改善事項であることが考えられます。

 しかし、企業の品質管理活動は、このような体制になっていない場合が少なくありません。その差はどこにあるのでしょうか?

 火災は、財産の消失はおろか、ときには人の命を奪ってしまうほどの大惨事を招いてしまいます。不良の発生もときには大惨事となることもあります。しかし、企業内では「品質優先」といいつつも、実際には不良の発生防止や発生した不良の再発防止対策などよりも他のことを優先している場合が多くあります。また、工程内不良が漏れてしまい社外不良として発生してしまうことの認識は誰しも持っていますが、実際には、社外不良と工程内不良に対しての対応が異なっているように感じています。そのような甘さが、消防署の活動と企業内の品質管理活動に大きな差が生じているのではないでしょうか。


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