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» 2011年06月17日 12時30分 公開

電気自動車 SIM-LEI(2):空気抵抗をどうしても減らせない (2/2)

[畑陽一郎,@IT MONOist]
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陸上動物ではなく川魚に範をとる

 畑山氏によれば、発想の転換が必要だったのだという。「自動車のデザイナーが通常、何に範を求めているかというと、陸上動物である。例えば、チーターの肩の筋肉の盛り上がりを、ホイールの上にかぶせるブリスターの形状に採用したり、獲物を狙うときに後ろにタメを持っているような車体の形である。これがこれまでのスポーツカーや自動車の通常のプロポーションだった」。

 こうした形状では力任せに空気を切って走ることになる。「レーシングカーの多くはCd値が非常に悪い」(畑山氏)。

 そこでアプローチを変えた。空気を切る代わりに、水の流れを身にまとう川魚のような、そのような解を求めて、車の形を変えていった(図4)。Cd値を下げる取り組みの中で、サイドミラーの面積を減らし、後輪にかぶさるリアスパッツの形状も工夫していき、結果として0.19を達成した。

ALT 図4 SIM-LEIのデザイン例 斜め上方からのイメージ画像。水中を泳ぐ川魚のように抵抗が少ないデザインを追求した。

 SIM-LEIが採用したコンポーネントビルトイン式フレームも、Cd値引き下げに役立った。「ガソリン車であれば排気管やドライブシャフトが走っており、底面はでこぼこしている。SIM-LEIは平らだ」(図5)。

ALT 図5 SIM-LEIの底面の状態 車体の底部には突起物などがほとんど見あたらず、空気の流れを乱さない。車体後部から撮影。

SIM-LEIならではのインテリアデザイン

 デザインチームに求められていたもう1つの課題がアイコニックデザインだ。SIM-LEIならではの技術をどう見せるか、見える化するためのデザインである。

 「SIM-LEIはEVだが、エンジンがないことが特長ではない。床下に全てのコンポーネントを配置(コンポーネントビルトイン式フレーム)し、モーターはタイヤに入れてしまう(インホイールモーター)ことが特長だ」(畑山氏)。

 このような特長を見せ付けるのが、他社のEVと設計が異なることで生まれた全ての空間をキャビンスペースとして使うインテリアデザインなのだという。

 エンジンがないため、ファイアウォールを前方に押し出し、前席と後席の前後間隔を長くとった。「2クラス上の車と同等のキャビンスペースが確保できた」(畑山氏)。さらに空いたエンジンスペースを19インチ型モニターを配置するスペースに転用した。このモニターはエンターテインメント用途に使えるだけではなく、リアビューモニターなどにも利用できる(図6)。


ALT 図6 前席とダッシュボードの様子 左前席の前方に19インチ型の多目的モニターを配置した。

 以上のようなインテリアデザインにより、大人が4人ゆったりと乗車でき、ゴルフバックも積める車内空間を実現できたという(図7)。

ALT 図7 SIM-LEIのトランクスペース トランク内のパンフレットの寸法はA4判。

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