グロープラグ制御などの用途に最適なIPS、電流検出比は最大で8800:1

» 2011年08月11日 00時00分 公開
[EDN Japan]

 インターナショナル・レクティファイアー・ジャパン(IRジャパン)は2011年8月、ハイサイドパワーMOSFET「AUIR331xシリーズ」のサンプル出荷を開始した。保護回路と制御回路を備えるIPS(インテリジェントパワースイッチ)製品で、パッケージ、オン抵抗、設定可能な電流値の範囲などが異なる8品種をそろえる。主に、グロープラグの制御、補助のPTC(正温度係数)ヒーター、エンジン冷却ファンの駆動、室内ファンの制御などの用途に向ける。車載部品の品質規格であるAEC-Q100に準拠している。10万個購入時の単価は、「AUIR3315S」の0.89米ドルから、「AUIR3313S」の1.20米ドルまでの範囲となる予定だ。


 AUIR331xシリーズの耐圧は最小値で40V、最大接合部温度は165℃、動作温度範囲は−40〜150℃である。「AUIR3313」と「AUIR3316」は、オン抵抗が7mΩで、電流設定範囲が10A〜90A。両品種の違いはスイッチング特性で、AUIR3313はターンオン遅延時間が定格で32μs、AUIR3316は定格で120μsとなっている。スイッチング速度が遅いAUIR3316は、ノイズに敏感な車載システムに最適だという。「AUIR3314」は、オン抵抗が12mΩで、電流設定範囲が6A〜58A、「AUIR3315」は、オン抵抗が20mΩで、電流設定範囲が3A〜30A。これらの品種のパッケージはTO-220である。各品番の末尾にSの付く品種もあり、これらは仕様は同じでパッケージがD2Pakとなっている。

 AUIR331xシリーズは、負荷電流を高精度にの検出できることを特徴としている。電流検出比(出力電流と帰還電流の比)は、AUIR3313/AUIR3313SとAUIR3316/AUIR3316Sが8800:1、AUIR3314/AUIR3314Sが5300:1、AUIR3315/AUIR3315Sが2800:1となっている。帰還電流の精度は全動作温度範囲において、±5%以内である。このように高い精度で負荷電流を検出できるので、負荷電流の値が小さい場合でも正確なモニタリングを行える。車載システムにおいて、無負荷状態の検出、過負荷状態やモーターの停動状態の早期警告などを実現できるようになる。

 また、過熱保護機能、過電流保護機能などを備えているので、ほとんどの用途でヒューズなどの保護部品が不要になる。ほかにも、車載2次電池を逆接続した場合に、内蔵のボディーダイオードに過剰な電流が流れて発熱しないよう、パワーMOSFETをオン状態にする保護回路も内蔵している。

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