18日間だけ明かす『ウルトラマン』の造形秘話ITmedia Virtual EXPO 2011プレビュー

「ITmedia Virtual EXPO 2011」のモノづくりITゾーンに円谷プロダクションが登場! 『ウルトラマン』の特撮映像に使われる造形物の製作では、3次元CADや3Dプリンターが積極的に活用する。本イベント会期中しか見られない事例をお見逃しなく。

» 2011年09月09日 13時40分 公開
[小林由美,@IT MONOist]

 アイティメディアは2011年9月13〜30日の18日間、「転換期のITとモノづくり」をテーマとしたバーチャル展示会(オンラインイベント)「ITmedia Virtual EXPO 2011」を開催する。参加費用は無料。Web上にある展示会は24時間いつでも来場でき、業界識者による講演の聴講、出展企業の資料入手などが自由に行える。

 今回は8つのゾーン(併設展を含む)を設置。そのうちの1つ「モノづくりITゾーン」のテーマは、「従来型モノづくりからの脱却 〜先端IT技術が創造するイノベーションと経営革新〜」だ。

 「少しユニークな角度からモノづくりITの世界をのぞいていただくことで、来場者の皆さんに新しい気付きを持ち帰ってもらいたい」。運営サイドのそんな思いから、モノづくりITゾーンでは円谷プロダクション(以下、円谷プロ)による講演「ウルトラマン立体造形物製作の3Dデータ活用」を実施する。いわゆる、映像業界における“先端IT技術が創造するイノベーション”事例だ。

 映像制作の3D(3次元)といえば、映画『アバター』のような高度な3次元CG技術がまず頭に浮かぶだろう。もちろん、円谷プロでもCG技術に積極的に取り組んでいるが、それだけにとどまらない。映像制作の造形(ヒーローや怪獣の着ぐるみ、アクセサリ製作など)においても、3次元CADや3次元スキャナ、3次元プリンタなど、3次元データを駆使したモノづくりに、意欲的にチャレンジしているのが同社の映像制作の大きな特徴でもある。

円谷プロにおける従来手法による造形物
円谷プロダクション 映像事業本部 製作部 LSS チームリーダー 澗淵隆文氏

 講演者は、円谷作品の造形物製作に携わる同社LSS(ライト・スカルプチャー・スタジオ)の澗淵(たにぶち)隆文氏。今回は、「Virtual EXPOの来場者さん限定公開ということならOK」ということで、通常明かされることのない『ウルトラマン』における造形物製作の過去・現在・未来を30分にわたり語る。Virtual EXPOの18日間でしか見ることができない秘話をどうかお見逃しなく。

 今や3次元CGでリアルなビジュアライゼーションが可能だ。円谷プロでは、最先端のCG技術を生かすだけではなく、ワイヤーでミニチュアをつるして、ジオラマの中を撮影して制作するような“古き良き時代”の映像作品の味わいも大事にしている。造形物製作においても、デジタル化により作業の手数を大幅削減することばかり考えず、手作業でないと表現できない形状を損なわないよう、作業プロセスを工夫している。

LSSでも3次元CADが活躍中

円谷プロでは既にデジタルアーカイブというところにも、視野を置いている。既に古い着ぐるみが劣化してきており、それの維持も重要であるが人が造り直すと、その度に変わってきてしまい徐々に品質を維持することが難しくなってきている。しかし、そのような資産もデジタル化することで、映像と造形物を一体として管理し品質を維持することが可能になってくる。

「第22回 設計製造ソリューション展(DMS)レポート」より)

ウルトラマンゼロ ウルトラマンゼロの等身大のモデル:DMS2011での展示(ファソテック社ブース内)

 講演ラストでは、同社の新作『総天然色ウルトラQ』についても触れる。モノクロ作品のカラー化は、自動で簡単にできるわけではない。その作品制作でも、多大な手間と時間がかけられた。ここでも、同社のアナログ・デジタル融合の神髄を見られる。

 デジタル表現には限界がある――普段、3次元CADを使う人たちにとっては、それは常識。円谷プロでは、そこをどういう手段やプロセスで補っているのか。本講演では、そのプロセスを具体的に説明していく。そのプロセスは、3次元データを利用したリバースエンジニアリングや、ユニークな設計や意匠(デザイン)考案に通じるだろう。

 ひとまず仕事のことはあまり深く考えず、小さいころに親んだウルトラマンの制作裏が、「いまの時代は、こんなことになっているのか!」と純粋におどろいてみるのも、この講演の1つの楽しみ方。製造業の方以外でも、かつてウルトラマンの放映をご覧になっていた方、「モノづくりの世界が好き」という方も必見の内容だ。

来場登録

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