空気エネルギーで走る車が実現、最高時速は129.2km電気自動車

豊田自動織機の技術者チームは、空気エンジン車「KU:RIN」を開発した。電力や燃料を使わずに129.2kmで走行、実用車としての利用は難しいが、空気エンジンの新しい使い方を開く試みだ。

» 2011年09月22日 19時20分 公開
[畑陽一郎,@IT MONOist]

 豊田自動織機は2011年9月22日、圧縮空気の動力で走行する空気エンジン車「KU:RIN」(クーリン)を開発したと発表した(図1)。電力やガソリンを使わずに走行できることが特長。

 茨城県の城里テストコース(日本自動車研究所)で最高速度、時速129.2kmを記録。空気エンジン車の最高速度記録としてギネス世界記録に申請する予定だ。


ALT 図1 豊田自動織機の「KU:RIN」 圧縮空気を利用して走行する。3輪で1人乗りである。車体の軽量化を進めているが、走行距離を数十km以上に伸ばすことは難しいと考えられる。

 同社は自由な発想を持ってモノづくりに挑戦する若手技術者を育てることを狙い、2006年12月に「夢の車工房」を立ち上げている。勤務時間外に全く新しいコンセプトの車の企画・製作活動を続けており、若手技術者40名が参加している。KU:RINを開発したのは夢の車工房のメンバーだ。

 空気エンジンは、圧縮空気を吹き込むことで回転力を生み出す機構。同社はカーエアコン用コンプレッサーを年間2000万台供給しており、この技術を転用した。コンプレッサーは冷媒を圧縮する装置だが、逆に膨張機として利用した。

 空気エンジンは、一般にはエアーモーターとして実用化されている。エアーモーターはエンジンや電動モーターと比較すると、小型軽量化しやすく、強いトルクが得られ、安全性に優れる。そのため、手持ちの工具の動力源として利用されている。KU:RINの高い加速性はエアーモーターの特長をうまく生かした結果だといえるだろう。


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