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» 2011年09月27日 12時50分 公開

環境配慮モノづくり最前線(3):専門家じゃなくても大丈夫。環境配慮設計は怖くない――“持続可能モノづくり”へのオートデスクのアプローチ (2/2)

[原田美穂,@IT MONOist]
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編集部 いままでのお話から、オートデスク製品では環境およびその他の情報参照を基に、全ての設計者が3次元モデルをベースに、同じツール上で環境やコストについて、同じ評価軸で検討を進めることを重視していると理解しました。共通言語としての3次元モデルや、分かりやすい「ベースライン」(下図参照)と色による視覚表現でこの図面がどのような状況にあるかが判断できること、材料を検討する際に、多様な選択肢を複数の軸で誰もが検討できることが重要であるということですね。

クレスリー その通りです。設計者全員が材料選択やそれによる影響がどのようであるかをオープンな精神で評価し、理解することが重要なのです。そこに複雑な化学の知識は(あればなお良いでしょうが)絶対必要というわけではないのです。

 それから、全ての製品開発において持続可能(サスティナブル)なデザインの視点が絶対であるとは考えていません。ただし、設計を検討する際の1つの検討軸として分かりやすく環境の視点からレビューできることは、設計者のマインドをオープンにするという意味でも重要だと考えています。

ベースライン 「ベースライン」を基準にした環境情報、コストなどの評価グラフ。実際にはInventorの画面右下に表示されるEco Materials Adviserの機能の1つだ。誰にでも分かりやすいように、ベースラインを軸に指標を超過すると赤、クリアしていれば緑で表示される。複雑な情報がない分、直感的に理解できる仕掛けだ。使用する水資源の量なども評価できる

米国でも消費エネルギー量削減とサスティナブルデザインが主要テーマに

編集部 サラさんは現在米国機械工学会(ASME)で活動されていますが、米国の業界内で注目されているトピックがあればお聞かせください。

クレスリー 2点あります。米国に限らず日本でも同様だと思いますが、1つはエネルギー使用量の低減、もう1つは持続可能なモノづくりです。

 例えば材料でいえば、石油系樹脂を採用するか、エコプラスチックを採用するかといった問題があります。また、自然エネルギーの分野では太陽光発電が注目されていますが、太陽光発電設備の廃棄では、実は有毒物質の処理方法やリサイクル方法が重要な課題となっています。

 この問題を解消するための議論がASMEワーキンググループでの主要な話題になっています。

編集部 日本でも環境懸念物質の規制もありますが、欧州や米国での規制動向に併せて「3R」に代表されるリサイクル・分解容易性などについてのルール作りが先行しています。これについては、どのような対応を行っているのでしょうか?

クレスリー ご指摘の通り、設計者は製品ライフサイクルの最後(製品が使用後に廃棄されるフェーズ)を考える必要があります。テクニカルドキュメント生成ツールである「Inventor Publisher」を使うと、リサイクルに関する検討もシンプルにできるようになります。3Rについては、ツール上で検討が可能になる仕掛けが用意されています。画面を見てください。この部品のどの部分がリサイクル可能かといった情報が視覚的に把握できるようになっています。

 設計段階でリサイクル時の処理を検討するにも、3次元図面をベースに考えると、より広いアイデアを得ることができると考えています。

Inventor Publisher Inventor Publisherを利用したリサイクル容易性評価の画面例

自然エネルギー開発事業者支援はなぜ?

編集部 オートデスクは2009年から、再生可能エネルギー、自然エネルギー開発事業者への支援を積極的に行っています。2011年2月には日本国内でも「クリーン テック パートナー プログラム」を開始しました(関連記事参照)*。その意図をお聞かせください。

クレスリー 再生可能エネルギー、あるいは自然エネルギーを活用するには、大規模な設備や施設開発が必要です。オートデスクは、CADベンダーの中でも建築分野に強いことが特徴の1つとなっています。例えば風力発電設備や太陽光発電設備には必ず建築的な要素が含まれます。これらをシームレスに同じCADデータ上で検討できるのはオートデスクならではだと考えています。それ故に、再生可能エネルギーベンチャー向けの支援プログラムを用意するなどして、この分野を盛り上げていきたいと考えています。

 事業者からすると、平面図や複雑な計算式で表現された設備ではなくAutoCADを利用したビジュアルな図面は、ベンチャーキャピタルのような出資者へのプレゼンテーションの用途でも威力を発揮するようで、支援プログラム参加者からはおおむね好評をいただいています。日本国内でも数件、支援プログラムに参加している企業があります。いずれも規模が大きな案件なので、具体的な成果を紹介するのはもう少し先のことになりますが、少なくない企業でオートデスク製品を活用したエコロジカルなエネルギー生成へのチャレンジが進んでいることを喜ばしく思っています。

編集部 ありがとうございました。

*現在もプログラムは継続しており、同社Webサイトではプログラム参加者を募集している。



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