サステナブルなモノづくりの実現

それは「後ろ向きな仕事」? 「前向きな仕事」?“明るく・楽しく”!? 環境配慮型設計・現場の心得(2)(2/2 ページ)

» 2011年10月21日 11時00分 公開
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特性、性格、価値観

プロのサラリーマンの“仕事の流儀”!

 サラリーマンである限り仕事は選べない。しかしその与えられた仕事の中で達成感を得て、自己実現を図る。言い換えれば「後ろ向きの仕事を前向きに変える」これぞプロのサラリーマンの仕事の流儀です。

 しかし、審査登録後の維持となると私はもう御免です。結局翌年もISO14001に取り組まされることになったのですが、その間にしっかり部下に自分の仕事を委譲していき、その翌年にはめでたく製造部門に戻ったのです。

 さて、その(元)部下ですが、見事にマネジメントシステムの維持・改善をこなしてくれました。あらかじめ決められた手順に沿って仕事をするのを「嫌じゃない、むしろ楽しい」と捉える人だってもちろん存在する訳です。

 言い古された言葉ですが、まさに適材適所。クリエイティブな仕事が好きな人にはそういう仕事を、ルーチン的な仕事が好きな人にはそちらの面で活躍してもらえば、全ての人たちに「前向きな仕事」をしていただけるのです。つまりは「前向きな仕事」か「後ろ向きな仕事」かはその人の特性、性格、価値観によって決まるのです。

「前向きな仕事」「後ろ向きな仕事」 「前向きな仕事」か「後ろ向きな仕事」かはその人の特性、性格、価値観によって決まる

この規制って非関税障壁?

 さて、政府の動きについて少し物言いしようと思います。ご存じの通り、RoHS、REACH、EuP、ErP、WEEEなど一連の環境関連法規制はEU議会で検討され、発行されてきたものです。もちろん、陸続き・海峡の向こう側である隣国との間で環境に関する決めごとをきちんとしておこう、という考えが根源にあるわけですが、欧州以外の国にとっては大きな非関税障壁となっています。

 環境庁や総務省のWebサイトを見ますと、確かに情報が載っています。でも本来であればもっともっと積極的な関与をすべきではないでしょうか。

 先日、野田総理大臣が東京都大田区の町工場を視察し、その日のうちに、「中小企業向けの低金利の融資を拡充し、当面の資金繰りに活用してもらう」というコメントを残しました。確かに資金繰りにも困っていることでしょう。でも、本来政府がやるべきことはそんな「問題先送り対策」ではなく、「円高への徹底対抗」ですよね*。低利の資金繰り用融資と「1ドル=100円」の為替相場、中小企業の経営者にとってどちらがインパクト大でしょうか?


*私は経済には疎いので、具体的手法はどうあるべきかを正しく表現できませんが、例えば政府が日銀としっかり連携して円を増発、どこぞの大企業と連携して円高を逆手にとって海外の大手エネルギー資源会社を買収するなりすれば、「日本政府は本気だ!」と世界に知らしめることになり、円高にブレーキがかかり、円高まっしぐらの高速ギアからバックギアにシフトされるのではないでしょうか?


 同様に環境規制関連法規への対応を各企業や、業界団体に任せるのではなく、情報基盤を「国」として積極的かつ正確に整え、国内の企業に活用してもらう。世界中の法規制の情報を収集し、それを正確に読み解き、正しいデータベースを作る。そういう仕事を「楽しい!=前向きな仕事」と感じる方々がお役人さんには多いような気がするのですがねぇ……。



 閑話休題。今回のまとめを示しておきましょう。

  • 環境配慮設計には多くの要素があり、クリエイティブなものとそうでないものが混在する
  • 「前向き」「後ろ向き」・「楽しい」「楽しくない」は個人の性格や価値観によって異なり、適材適所により全ての人たちに「明るく楽しい」仕事をしてもらうことが可能
  • 欧州をはじめとする海外の環境関連規制には「国」が企業をバックアップすべき


 今や3次元CADには含有化学物質の使用量計算機能も実装されています。便利になった一方で、こんなことを言われた経験はありませんか?

ほら、3次元CADで何でもできるんだから、全部設計でやってよ!

 これが「間違ったフロントローディング」ですね……。この件については次回、詳細にお話ししようと思います。(次回に続く


筆者紹介

関伸一(せき・しんいち) 関ものづくり研究所 代表

 専門である機械工学および統計学を基盤として、品質向上を切り口に現場の改善を中心とした業務に携わる。ローランド ディー. ジー. では、改善業務の集大成として考案した「デジタル屋台生産システム」で、大型インクジェットプリンタなどの大規模アセンブリを完全一人完結組み立てを行い、品質/生産性/作業者のモチベーション向上を実現した。ISO9001/14001マネジメントシステムにも精通し、実務改善に寄与するマネジメントシステムの構築に精力的に取り組み、その延長線上として労働安全衛生を含むリスクマネジメントシステムの構築も成し遂げている。

 現在、関ものづくり研究所 代表として現場改善のコンサルティングに従事する傍ら、各地の中小企業向けセミナー講師としても活躍。静岡理工科大学講師、早稲田大学大学院講師、豊橋技術科学大学講師として教鞭をにぎる。



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