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» 2011年11月29日 10時38分 公開

日本には「黒潮」がある、海流発電の研究をIHIや東芝が着手スマートグリッド(2/3 ページ)

[畑陽一郎,@IT MONOist]

日本は遅れを取り戻すことができるか

 日本は周囲全てを海洋に囲まれ、排他的経済水域*2)の面積では世界6位に位置する(国の面積では62位)。この立地条件を生かした海洋エネルギーの利用を目指すべきだ。

*2) 排他的経済水域とは、領海の外側、沿岸から200カイリ(約370km)の範囲内の水域であり、全ての資源の探査と開発、保存、管理、経済活動に関する排他的な管轄権を主張できる。国連海洋法条約に基づく。

 さまざまな再生可能エネルギーの開発が強く望まれる中、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、2011年度から2015年度の5年間で、さまざまな海洋エネルギーの開発を進め、商用利用への下地づくりを始める「風力等自然エネルギー技術研究開発 海洋エネルギー技術研究開発」の委託を開始した。

 委託研究の内容は3種類に分かれている*3)

*3) 3つのうちの1つが「海洋エネルギー発電技術共通基盤研究」である。発電システムを建造するのではなく、情報収集・分析や性能試験方法などを研究する。

 「海洋エネルギー発電システム実証研究」では比較的商業化が近い研究に取り組む。実証研究を重ねることで、2015年に発電コスト40円/kWh以下を実現するシステムを作るのが目的だ。プロジェクトが実現可能かどうか、実施することに妥当性があるかを検討後、想定海域で実証研究に入る。研究対象は潮流・海流発電と波力発電だ。

 潮流・海流発電では、川崎重工業の実証研究が採択された(図1)。2011年10月19日に同社が発表した内容によれば、潮流発電に力点があり、沖縄電力や沖縄新エネ開発と協力して沖縄海域での実証実験の可能性を探る他、英スコットランドの実証フィールド欧州海洋エネルギーセンターEMEC(European Marine Energy Center)での試験を予定している。

図1 潮流発電システムのイメージ図 図では海底にタービンが固定されている。出典:川崎重工業

 波力発電は三菱重工鉄構エンジニアリングと東亜建設工業の実証研究が採択された*4)。2011年11月15日の発表資料によれば、波の振動を空気の流れに変換し、空気によってタービンを動かす「振動水柱型空気タービン方式」を採用している(図2)。

*4) NEDOが2011年10月19日に発表した「風力等自然エネルギー技術研究開発/海洋エネルギー技術研究開発」に係る実施体制の決定について、によればこの他、ジャイロダイナミクスと日立造船のグループと、三井造船が波力発電の実証研究の採択を受ける予定である。

 この方式では水面の上下運動を空気圧の変化に変えて発電する。両社は効率よく水面が上下するように空気室の前面に間仕切り壁(プロジェクティングウォール)を設置することで発電効率を向上させる。実用性を高めるため、発電装置を後付けユニット構造システムとして設計する。こうすることで、既存のインフラ構造物上に設置できるという。

図2 振動水柱型空気タービン方式の波力発電所 波によって海面が上下し、空気室の圧力が変化する。これによって、往復する空気流が生まれ、タービン発電機が動く。出典:三菱重工鉄構エンジニアリング

 NEDOの委託研究には、この他、実用化に10年を要するような研究開発も含まれている。海流発電と、海洋温度差発電だ。時間はかかるものの、発電コストは安く、大規模な発電が可能になる見込みがある。

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