品質管理者必須の統計的手法 層別、チェックシート、パレート図実践! IE:現場視点の品質管理(9)(2/3 ページ)

» 2011年12月20日 12時00分 公開

チェックシート(Check Sheet/Check List)

 データを採取するためのチェックシートは、事実を区分(層別の手法を利用)して知るとか、詳しく定量的に知る、問題の本質を知るなどのために、採取したデータをまとめてグラフ化する手法です。簡単で手軽に利用できる手法ですが、決まった形式がありませんので、目的やデータの性質などによって最適な形式に工夫することが必要です。

 製造現場で利用するチェックシートは、工程の分布、工程中の不良の割合や製品の不良発生位置を知る場合とか、作業や製品の点検を行うなど、さまざまな場合に利用されています。簡単で、しかもそのデータを後で、使いやすい形で得られる手法です。

チェックシートの特徴

 チェックシートを作成する場合、目的を明確にする、記録すべき項目を決める、記録様式を決める(チェック項目、チェック方法、チェックマークの種類、書式など)、誰でも間違いなく記入できるようにチェック方法を決めるなど、あらかじめ検討しておかなければなりません。チェックシートの特徴としては以下のことが挙げられます。

  • データを記録するのに手間が掛からない
  • 問題の所在が早く分かる
  • 時々刻々と全体の姿が分かるので、対応や処理が早い
  • 多くの項目を同時にチェックできる
  • データを層別して、一度に採取できる

チェックシートの活用上の注意

 チェックシートは、データを効果的に手早く捉えることができますが、この場合、データに時間的な変化の傾向がある場合は、データの採取が終了してしまってからでは、分布の時間的経過が分かりませんので、例えば、午前中に不良が集中するというような傾向は、チェックシートを書き終わってからでは分かりません。従って、チェックシートを記入する場合に、その傾向が把握できるような書式としておく必要があります。

 また、異なった機械設備、材料、作業者など、データの条件が異なる場合は、別のチェックシートに記録するか、チェックマークを区別して比較検討することが望ましいでしょう。

表1 表1 チェックシートの作成例

パレート図(Pareto Chart)

 パレート図は、米国人・ジュラン博士(Dr. Joseph Moses Juran)が、品質不良はその発生頻度に偏りのあることに気付き、これらの現象がイタリアの経済学者のヴィルフレド・パレート(Vilfredo Federico Damaso Pareto)が示した「パレートの法則(Pareto's Law)」に従うことを発見しました。ジュラン博士がこの普遍的現象を「パレート原則」と名付けたことから、「パレート図」と呼ばれるようになりました。

 パレート図は、不良原因や現象項目を損失の多い順に並べた棒グラフと、大きい順に加算していった累積損失の全体に対する比率を折線グラフで表示することで、問題の重点を明確化して解決策を求めようとする手法です。

 ある問題を解決するために、採取されたデータを整理するための手法で、縦軸は、不良項目ごとのそれぞれの不良件数の棒グラフと、累積の不良が全体の何%を占めているか分かるように折れ線グラフで百分率が表示してあります。横軸には、発生した不良件数の多い不良項目から順に並んでいます。

パレート図の目的

 パレート図は、問題の解決を図ろうとする際に、まず、どの項目に着目すれば最も大きな効果が得られるかを知るために用います。つまり、パレート図で図示化を行うことで、項目別の問題の大きさを知ることができます。品質不良を例にすると、2〜3種の不良項目が発生不良全体の60〜80%を占めている場合が多くあります。

 パレート図は、集めた記録やデータを棒グラフと累積百分率を用いて、整理することにより、1つか2つの重要な問題点を見つけ出すのに役立つということがいえます。

 よく活用される方法の1つとして、パレート図によって、結果や現象を分類して重大な問題点を把握し、問題の大きい項目を特性要因図によって問題発生の要因を洗い出していきます。次に、特性要因図で列挙された要因の検証結果として得られた原因の対策を立案するために再びパレート図を作成して、速やかに対処しなければならない"不具合原因"を決定していきます。つまり、パレート図を活用しながら「結果から原因へ」というプロセスをたどって、重点項目を判断しながら問題を解決していきます。

図1 パレート図を使った問題解決の手順

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