網走のメガソーラー、「流氷」の地で日照は大丈夫なのかスマートグリッド

メガソーラー設置が活気を帯びてきた。電力会社主体の展開から、民間主体へと次第に移り変わってきていることが特長だ。メガソーラーを置くにはどのような条件を満たせばよいのか。網走市の事例から読み取れることは幾つもある。

» 2012年02月27日 18時10分 公開
[畑陽一郎,@IT MONOist]
網走のメガソーラー、「流氷」の地で日照は大丈夫なのか 網走市(赤丸)

 太陽光の固定価格買取制度*1)が2012年7月から動き始める。これを受けて、民間主体のメガソーラー(大規模太陽光発電所)建設の動きが活発化してきた。ただし、どこにでも建設できるわけではない。立地には条件がある。

*1) 再生可能エネルギー特別措置法に基づくもの。なお、家庭の屋根に置いた太陽光発電システムについては既に買い取りが始まっている。

 まず日照量が多いこと、次に平らで造成済みの数haとまとまった土地があり、最後に系統との連系がたやすくなければいけない。

網走市の条件は良いのか

 北海道網走市は2012年2月24日、2012年12月に運転開始を予定するメガソーラー計画を発表した(図1)。最大出力は1.567MW。2012年6月に着工を予定する。発電した電力は北海道電力に売電する予定だ。総事業費は5〜6億円。

 「建設予定地は能取工業団地内にあるため、土地は造成済みであり、6.6kVの送電線がすぐ脇を走っている。規模が2MW以下であるため、系統との接続には全く問題がない」(網走市役所、関連記事)。「日照量が多いことに加えて、積雪が少ないことが網走市を選ぶ決め手となった」(三井物産)。網走市の年間日照時間は網走地方気象台によると1873時間(2002年からの10年平均値)であり、北海道内でも長い。気温が低いことは問題とならない。最深積雪が100cmを超えるのは年間27.6日である。

図1 網走市 網走市はオホーツク総合振興局(旧網走支庁)の支庁所在地であり、人口は4万人弱。冬季の流氷観光で有名である。出典:網走市

 網走市は既に三井物産の間で、土地賃貸借の条件に合意し、契約を締結している。貸付期間は20年。三井物産や同社のグループ会社が運営、保守管理を受け持つ。東京海上アセットマネジメント投信が事業主体となり、資金募集を担う。

 網走市は2011年8月からメガソーラーに関する交渉を開始し、今回の合意に至った(図2)。「5.3万m2を年額52万9000円で賃貸することが決まった。賃貸料収入と固定資産税を合わせて20年間で7000万円の収入を見込む」(同市)。

図2 メガソーラーの立地 図1の中央部に描かれた能取工業団地内の5万2962m2(5.3ha)の土地(斜線部)に、京セラの太陽電池モジュールを6396枚設置する。「このメガソーラーは当市の調べでは北海道内で3番目の規模になるだろう」(網走市)。出典:網走市

民間主体のメガソーラーが広がるには

 電力会社が主体となるのではなく、民間が主体となってメガソーラーを建設、運営するには、まず条件の良い土地が見つかるかどうかが前提となる。他の条件は何だろうか。

 三井物産と東京アセットマネジメント投信は、共同でメガソーラーを全国に展開していく*2)。「2011年7月に、当社と東京海上アセットマネジメント投信が共同で全国に10カ所のメガソーラーを展開するという報道があったが、現在の計画はこの報道から大きく外れていない」(三井物産)。「計画をどちらの方向に修正するかは、太陽光の買い取り価格とファンドの状況を見て決める」(三井物産)。

*2) 2011年11月25日には山梨県が民間メガソーラー発電所設置事業について、三井物産と東京海上アセットマネジメント投信、明電舎が設置事業者となったことを発表している。想定出力は11MWと大きい。


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