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» 2012年03月14日 12時32分 公開

S&OPプロセス導入 現場の本音とヒント(3):恥ずかしい話だけれど、ウチの会社はこんな状況なんだ…… (2/2)

[S&OP-Japan研究会,@IT MONOist]
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S&OPとはどういうものなのかでしょうか? 

 米国との時差があるにもかかわらず、運よく1時間もたたないうちに早速P君から返信の英文メールが届きました。

◇ ◇ ◇

 O君、メール読みました。

 現場である製販調整と事業計画が連携する仕組みを作れていないのはO君の会社だけではなく、多くの日本の企業が抱える問題だと思います。

 この言葉にはさまざまな定義があります。例えば、U.S.に本社を置くコンサルティング会社のオリバー・ワイトの定義を参考にすると、S&OPとは事業計画や財務計画といった企業の経営上の目標や計画と、製販計画や新製品の開発など、オペレーションの計画を効率的、効果的に同期化させるプロセスのことを指します。

 このプロセスでは、経営層が「スポンサー」や「オーナー」として深く関与します。経営層は「マネジメントレビュー会議」という会議体で、業績評価や見通しの修正、計画の承認を行うようになっています。

 業績評価や見通しの修正を行うサイクルは、通常の場合は月次で計画を更新することが推奨されています。このとき、18カ月から24カ月という、1年以上先を含むスパンを計画の対象とするのです。

 S&OPプロセスの手法に即すと、

1)日次や週次で情報を更新し

2)直近の数カ月を対象とするオペレーション上の計画・実績

という2つの情報を、四半期や半期サイクルで数年先まで計画を立てる事業計画とつなぐ役割を果たします。

図1 S&OPの位置付け 図1 S&OPの位置付け

 S&OPという言葉は最近できたものではありません。実は歴史が古く、20年近く前からあるものなのです。

 当初は製販で合意のとれた販売計画を作成することに重きを置いた、どちらかといえば現在のSCMに近い製販調整プロセスが中心の考え方だったようです。

 今日ではS&OPは新製品の投入や終売の計画に関係する製品開発や、売上・収益計画など財務部門にまで領域を広げ、企業全体での統合された計画を立案するプロセスへとS&OPは進化しています。

 SCMとS&OPは似たコンセプトを持ちますが、その範囲や目的が異なっています。

 SCMは「直近」の数量ベースの需給バランスに注力したものといえるでしょう。一方のS&OPは、生産・営業で合意された販売計画、供給計画を作成するという直近のオペレーション上の話にとどまらず、中長期の製品開発や事業計画など経営面とオペレーションとの統合を意識した、より「戦略的」で全社的な視点の考え方なのです。

 SCMは主に営業や生産、調達など社内の部門間の連携、さらには外部のサプライヤや顧客へと連携を広げ、需要の変動に応じて需給のアクセルとブレーキを迅速に効かすことに重きを置く、オペレーション上の最適化にフォーカスした取り組みといえます。

 導入の際に、いろいろなところでヒアリングをしてきた担当者によると、言葉の定義上ではS&OPは記した通りですが、実際にどのような形で運営しているかは、導入企業により、内容はさまざまです。実際、工場の生産計画につながる週次のマスタープランのプロセスまでを含んでS&OPと呼ぶ企業もあります。

 S&OPの要は事業計画など経営上の目標や計画をいかに現場の実行と同期を取れるか、逆に現場の最新状況をいかに経営上の意思決定に反映させられるかだといえます。ですから、例えば、週次のマスタープランのプロセスまで包含した形でS&OPプロセスを構築するのも理にかなったものといえるでしょう。

 実際グローバルに展開しているあるハイテク企業が構築したS&OPは、週次でS&OPプロセスを運用しておりマスタープラン作成がそのプロセス内に含まれています。

 O君の勤め先で現在行っている製販調整会議や四半期会議と何が違うのか分からないのが実際だと思います。

 もし、時間があるなら、一度我社へ見学にきませんか? 参考になると思います。

編集部から

P君の会社では既に、SマネジャーやO統括部長の課題を解決すべく、業務プロセス改革に着手していたようです。次回は、S&OPのベストプラクティスといわれている組織がどのようになっているのかを見ていきます。かなり高度なレベルで導入が進んでいるケースですので、参考になることでしょう。


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