ヒストグラムの読み方、コツと経験則実践! IE:現場視点の品質管理(12)(4/4 ページ)

» 2012年03月30日 11時52分 公開
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(2)ヒストグラムからの標準偏差の求め方

 ここでは、ヒストグラムを用いて平均値と標準偏差(σ)を求める方法を説明します。

 データの数が多い場合に、(1)の方法で、平均値や分散(σ2)を求める方法は、必ずしも容易ではありません。そこで、表1のように、度数分布表を利用して計算する方法が用いられています。この方法は代表値を用いるため、わずかな誤差が発生しますが、実用上は特に問題のない範囲なので、広く利用されています。

(a)標準偏差の計算

 前回記事の表3より、このデータの平均値、分散(σ2)および標準偏差(σ)を求めますが、その前に計算を容易にするために表1を作成します。

表1 度数分布表より標準偏差(σ)を求める 表1 度数分布表より標準偏差(σ)を求める

(b)平均値の計算

 平均値は、次式により求めます。

 ただし、x0は、zi=0に対する組の中央値を用います。

(c)分散の計算

 分散(σ2)は、次式で求めます。

 標準偏差(σ)は、上記の算式で求めた分散(σ2)の正の平方根が標準偏差(σ)ですので、“標準偏差(σ)=1.344”となります。

◇ ◇ ◇

 ヒストグラムは、データの集合からその性質と傾向を判断するための1つのツールといえます。山の形状から工程の安定性を判断し、標準偏差から山の広がり具合を知り、規格値を外れる問題発見により、品質にバラツキが発生する原因を突き止めて改善したり、管理するなど、次の行動の意志決定の手かがりとすることが重要です。

 次回は、製造工程を正しく管理状態に保つことを目的とする「管理図」について説明しますが、管理図は、製品品質のバラツキ状態を図に表したものですので、ヒストグラムと関連性の強い手法です。ご期待ください!

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筆者紹介

MIC綜合事務所 所長
福田 祐二(ふくた ゆうじ)

日立製作所にて、高効率生産ラインの構築やJIT生産システム構築、新製品立ち上げに従事。退職後、MIC綜合事務所を設立。部品加工、装置組み立て、金属材料メーカーなどの経営管理、生産革新、人材育成、JIT生産システムなどのコンサルティング、および日本IE協会、神奈川県産業技術交流協会、県内外の企業において管理者研修講師、技術者研修講師などで活躍中。日本生産管理学会員。



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