「フィットEV」が国内リース販売を開始、価格は6年契約で1カ月5万5500円米国は3年契約で1カ月3万円(2/2 ページ)

» 2012年08月31日 18時15分 公開
[朴尚洙,@IT MONOist]
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電動サーボブレーキで回生量を8%向上

 フィットEVが世界最高の電費を達成する上で、新開発の電動サーボブレーキシステムの貢献も無視できないものがある。この電動サーボブレーキシステムは、ブレーキペダルを押し込んだときの感覚をドライバーに感じさせるペダル操作部と、油圧ブレーキを働かせるブレーキ動作部から構成される。ペダル操作部とは独立して動作するブレーキ動作部は、ブラシレスモーターと減速ギア、ボールねじにより、高精度な液圧制御と素早い応答が可能である。

電動サーボブレーキシステムの構造と動作イメージ(クリックで拡大) 出典:ホンダ

 この構成により、ブレーキエネルギーを電力に変換できない油圧ブレーキの動作範囲をできる限り減らすことに成功した。具体的には、ブレーキ動作時にモーターで発電する電力の量は、一般的な油圧ブースター式の回生ブレーキと比べて約8%向上している。さらに、回生ブレーキと油圧ブレーキの配分が変化する場合でも、ドライバーに違和感を感じさせない自然なブレーキフィールも実現できているという。

電動サーボブレーキシステムによる回生効率の向上効果。従来と比べて、水色で示す部分のブレーキエネルギーも電力に変換している。(クリックで拡大) 出典:ホンダ

内装と冷媒にエコ材料を採用

 シートやドアライニングの表皮には、サトウキビ由来の原料を全体の30%使用するバイオPETを採用した。このバイオPETの原料は、サトウキビから砂糖を取り出した後の残渣(搾りかす)から製造しているので、食糧品と競合しない。価格は、石油由来の原料を使用するPETの1.3倍になるものの、PETボトルなどからリサイクルした原料を使うリサイクルPETが同2.5倍になるのと比べて安価である。さらに、リサイクルPETよりもデザイン自由度が高く、質感も良好である。

 この他、エアコンの冷媒として日本で初めてHFO(ハイドロフルオロオレフィン)-1234yfを採用した。HFO-1234yfは、現在一般的に利用されているHFC(ハイドロフルオロカーボン)-134aよりも、地球温暖化係数を350分の1以下に低減している。ホンダは、フィットEV以降のエコカーにも、HFO-1234yfを順次採用していく予定だ。

カーナビ以外にリモコンと専用スマホアプリも

 フィットEVは、詳細な渋滞情報などが特徴の「インターナビプレミアムクラブ」を利用できる、通信タイプのカーナビゲーションシステムを標準で装備する。充電スタンドの位置情報や、走行可能な距離の範囲表示などのEV専用機能も備えている。

 カーナビに加えて、「EV双方向リモコン」と、フィットEV専用のスマートフォンアプリも用意している。EV双方向リモコンを使えば、例えば「宅内からガレージ」といった近距離(80m以内)で、フィットEVを遠隔操作できる。電池の残容量や車内温度などの確認、充電やエアコンのオンオフなどか可能だ。

左の写真は、「EV双方向リモコン」。右の写真は、「フィットEV」専用スマートフォンアプリの画面イメージである。(クリックで拡大) 出典:ホンダ

 一方、専用のスマートフォンアプリを使えば、EV双方向リモコンの通信可能領域から外れていても、カーナビの通信機能を介することによりフィットEVを遠隔操作できる。EV双方向リモコンと同様の機能に加えて、走行可能な距離の範囲表示や、充電ケーブルの接続状態の確認、充電やエアコンのタイマー設定なども行える。

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