リネオと日立超LSIが高速起動デュアルOSをデモ、バックモニター起動時間は1秒車載ソフトウェア

リネオソリューションズと日立超LSIシステムズは、ルネサス エレクトロニクスのユーザーイベント「R-Car Consortium Forum 2012」において、組み込みLinuxとT-Kernelを用いて、高速起動や2つのOSの協調動作に関するデモンストレーションを行った。

» 2012年10月25日 08時00分 公開
[朴尚洙,MONOist]
リネオソリューションズと日立超LSIシステムズのデモ

 リネオソリューションズと日立超LSIシステムズは、ルネサス エレクトロニクスの車載プロセッサ「R-Car」のユーザーイベント「R-Car Consortium Forum 2012」(2012年10月23日)において、組み込みLinuxとT-Kernelによる高速起動と2つのOSの協調動作に関するデモンストレーションを行った。

 デモは、800MHz動作の「Cortex-A9」コア1個と600MHz動作の「SH-4A」コア1個を搭載する、ルネサスのプロセッサ「R-Mobile A1」の評価ボード「Armadiillo-800 EVA」に実装して行った。Cortex-A9上で組み込みLinux(プラットフォームはAndroid)を、SH-4A上でT-Kernelを動作させるとともに、両OSの動作を日立超LSIシステムズの「リアルタイム・オーガナイザ」によって協調させている。

 リアルタイム・オーガナイザは、プロセッサコアの間で必要な通信や排他などの仕組みを提供するミドルウェアである。デバイスドライバについても、必要なもののみを共有しながら、それら以外は各OSで独立して制御できる。例えば、組み込みLinux側で不具合があっても、OS状態監視機能により、T-Kernelが組み込みLinuxを再起動させることによって機能回復を図れる。デュアルOSを実現する上で、特別な仮想化のレイヤを設けなくて済むので、実行上のオーバーヘッドを最小限に抑えられるのが特徴である。

 デモでは、動作が軽量なリアルタイムOSであるT-Kernelの特徴を生かして、T-Kernelに実装してあるカメラで撮影した映像を表示するアプリケーションを、1秒以内で起動できることを示した。「自動車業界からは、エンジン始動とのタイムラグなしにカーナビゲーションシステムなどのバックモニター機能を起動したいという要求がある。T-Kernelとリアルタイム・オーガナイザを使えば、そういった高速起動の要求に対応できる」(展示の説明員)という。

 一方、組み込みLinuxにも、リネオソリューションズの高速起動ソリューション「Warp!!」が搭載されている。Warp!!の機能により、通常は11秒かかる起動時間を、4.2秒まで短縮できている。同説明員は、「組み込みLinux側の起動時間を短縮したいという要求も強い。Warp!!であれば、そういった要求に対応できる」と述べている。

左の写真は、デモボードを再起動して1秒程度経過したところ。液晶ディスプレイの右上にあるメイン画面には、カメラで撮影した映像を表示するアプリケーションが動作している。右の写真は約4秒経過したところで、液晶ディスプレイの左下にあるサブ画面には組み込みLinux(Android)の画面が表示されている。

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