日産のEV「リーフ」が250万円以下で購入可能に、走行距離も14%増の228km電気自動車(2/2 ページ)

» 2012年11月21日 07時00分 公開
[朴尚洙,MONOist]
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軽量化と回生ブレーキの改良で走行距離が拡大

 EVの性能で最も注目される満充電からの走行距離は、従来の200kmから228kmに伸びた(いずれもJC08モード)。日本市場で販売されている他のEVと比較すると、価格が1000万円を超えるTesla Motorsの「Roadster」の394kmより短いものの、これを除いて最長だったホンダの「フィットEV」の225kmを3km上回った。

 走行距離の拡大は、車両重量の軽量化、減速時のエネルギーを電力に変換する回生ブレーキシステムの改良、省電力の暖房システムなどの採用によって実現した。

 軽量化では、従来は別々の部品として組み付けていたモーター、インバータ、DC-DCコンバータを一体化したユニットにすることで、従来比で容積を30%、重量を10%削減した。この他、車載充電器の小型化や、大容量リチウムイオン電池のモジュールとケースの構造の合理化、各種部品の軽量化によって、車両重量は従来の1520kgから80kg減って、1440kgになった(Xグレードで比較)。

 新型「リーフ」のモーター、インバータ、DC-DCコンバータを一体化したユニット
従来モデルのモーター従来モデルのインバータ 上の写真は、新型「リーフ」の、モーター、インバータ、DC-DCコンバータを一体化したユニット。従来モデルでは、左下の写真のモーターと、右下の写真のインバータを別々の部品として組み付けていた。(クリックで拡大) 出典:日産自動車
大容量リチウムイオン電池の比較。左の写真が新型「リーフ」で、右の写真が従来モデルである。ほぼ変わっていないように見えるが、モジュールとケースの構造の合理化によって軽量化されている。(クリックで拡大) 出典:日産自動車

 回生ブレーキシステムは、減速エネルギーを電力に変換する下限速度を、従来の時速7kmから時速3kmまで拡大した。ヒートポンプ式キャビンヒーターや全席シートヒーター、ステアリングヒーター、遮熱天井などを採用する省電力の暖房システムは、従来よりも暖房時の消費電力を低減可能である。

 大容量リチウムイオン電池の容量は従来と変わらず24kWhである。モジュールとケースの構造の合理化を除いて、電池セルなどは従来のリーフと同じものを使用している。

 さらに、小型化した車載充電器の搭載位置を、従来の車両後部から車両前部に移したことにより、荷室容積が330l(リットル)から370lまで増えた。

 なお、JC08モードの交流電力量消費率も、従来の124Wh/kmから114Wh/kmに向上した。交流電力量消費率は、1km走行するのに必要な電池の容量(Wh)を示す値で、低いほど良い。

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