2025年以降、EVの電気代は無料になる……かもしれない「INTERNATIONAL DESIGN INNOVATION AWARDS 2025」授賞式

世界のイノベータをたたえる「INTERNATIONAL DESIGN INNOVATION AWARDS 2025」の輸送部門を受賞したテスラ・モーターズのスピーチを紹介。……くれぐれも“架空のイベント”なので、ご注意を。

» 2012年11月28日 18時10分 公開
[小林由美,MONOist]

 米Autodeskは、2012年11月27日、世界のイノベータの貢献をたたえる「INTERNATIONAL DESIGN INNOVATION AWARDS 2025」の授賞式を開催した。……ん? 2012年なのに、2025? そう、このイベントは架空の設定。「2025年のデザインの役割はどうなっているか」、いまも先進的な事例を持つ各分野の企業が、イマジネーションを余すところなく発揮してスピーチするイベントである。米国ネバダ州ラスベガスで開催中のユーザー向けイベント「Autodesk University 2012」(会期は2012年11月27〜28日:現地時間)内で開催された。

 ちなみに今回は、以下の企業が受賞した(ことにした)。

計算機(COMPUTING MACHINERY)部門:DEUTCHCO
建築環境(BUILT ENVIRONMENT)部門:UNIVERSAL POPUP HOTEL
輸送(TRANSPORTATION)部門:テスラ・モーターズ
デジタル・エンターテインメント(DIGITAL ENTERTAIMENT)部門:CIFI STUDIOS

 以下ではそのうちの1つ、輸送部門を受賞した(という設定の)EV(電気自動車)メーカー テスラ・モーターズのスピーチの内容を紹介する。

思ってもみませんでした

 「このたびはこのような素晴らしい賞を受賞するとは思ってもみませんでした。テスラチームを代表し、皆さまにお礼を申し上げます」とテスラ・モーターズ ジャヴィエル・ベルドゥーラ(Javier Verdura)氏はその心境を語った。ベルドゥーラ氏は、同社が構想する全世界90億人(2025年の人口想定)の生活を支える交通デザインについて語った。

壇上で語るテスラ・モーターズ ジャヴィエル・ベルドゥーラ(Javier Verdura)氏

 まずは、テスラ・モーターズの歴史から。「EV業界で一番の自動車を作りたい!」ということで2003年に創立した同社は、2008年に初めての量産車両「ロードスター(Roadster)」を販売開始。その後、2009年に「テスラ・モデルS」(モデルS)を発表。同製品は、12人の審査員の満場一致によりモータートレンドの「カー・オブ・ザ・イヤー2013」を受賞。受賞自体も、EV初の快挙だった。

テスラ・モーターズの2025年

 さて、上記はもう“10年以上前の、過去の話”。モデルSは、その後も性能を高めていき、業界での認知度や評価はめきめきと高まっていった。2025年、テスラ・モーターズはGMと並ぶ大手自動車メーカーとして成長する。経済誌「フォーブス(Forbes)」の「最も裕福な会社25」にも選出された。

2025年、経済誌「フォーブス(Forbes)」の「最も裕福な会社25」に選出!?:ちなみにそこに、Autodeskがある

究極の充電インフラを構築する

 「この社会をよりよくしていきたい」と考えるテスラ・モーターズは、自動車だけではなく、充電のインフラ整備を早期に充実させなければと考えた。まずは北米全土に高速充電できるステーションを張り巡らせる計画を2013年からスタートさせる。2025年現在、当初の計画通り全米の全域に高速充電ステーションが張り巡らされている。

 2018年、テスラ・モーターズの車両は、1秒間の充電で1マイル(約1.6km)走るほどの性能となっている。5分間も充電すれば、300マイルは走れるほどに。

 一方、ガソリン価格は2012年以降徐々に高騰していき、2025年には1ガロン(3.785リットル)当たり27〜28ドルという“バカみたいに高い”値段になってしまう。ガソリン車は、コスト的に相当覚悟して乗るものとなる。また地球温暖化問題も、相変わらず解消されていない……。

ガソリン代は、こんなことに!(架空の画像)

 この状況からテスラ・モーターズは、新たなテーマに乗り出すことを決定する。それは、EVのエネルギーに掛かる費用を無料化しようという計画だ。

 2010年ごろは、携帯電話の発信塔が街のいたるところに立っていた。そこで受けた電波の量で、携帯電話の利用料が課金されることはなかった。2025年のEVなら、それと同様なことができないのか。

 そこで太陽光を受け無線送電するシステムを道路際に設け、通りがかる自動車に急速充電する仕組みが作れないか。そのような仕組みを全世界の主要なハイウェイ沿いに設置する。そうすれば、車はエネルギーを気にすることなくずっと運転できる。それにより、「ガソリン車に乗る理由がなくなる」とジャヴィエル氏。

太陽光を利用したチャージシステムの構想

自動車の設計・製造も変革が

 自動車の設計・製造においては、デジタル・マニファクチャリングが高度に進化している。顧客個人の体形をコンピュータが自動測定し、それに合わせたサイズの自動車を設計し製作する。また旧車両のバッテリーや部品材料をリサイクルして車両製作する。部品は3次元プリンティングで出力し、組み立てる。

 これらの取り組みにより、新たなサスティナビリティ哲学を作る。そして、「形状はテクノロジーに従って動く」、そんな時代がやってくる。そういう言葉でスピーチを締めた。

 ――2025年が訪れたとき、テスラ・モーターズはその大志をかなえているだろうか? また読者の皆さんは、どんな未来を描く?

編集部より

名古屋市のポートメッセなごやで開催する「次世代ものづくり基盤技術産業展 TECH Biz EXPO 2012」(会期2012年11月28〜30日)で、MONOistが企画したパネルディスカッション企画「EV時代の新しいモノづくり〜世界で戦える“日本発EVメーカー”は誕生するか?」を開催します。開催日時は、11月30日 14〜15時半です。モデレータは、関ものづくり研究所の関伸一氏。

テスラ・モーターズ・ジャパン カントリーマネージャ 飯塚航生氏、オートデスク 製造営業本部 長谷川英紀氏がパネリストとして参加します。ぜひお越しください。

>>詳しくは、こちらから。



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