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» 2013年01月11日 10時00分 公開

目指せT字型人材! 中小企業エンジニアのスキルアップ(2):これだけは知っておきたい! 「マーケティングって何?」(前編) (3/3)

[小山新太/MPA所属 中小企業診断士,MONOist]
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知覚マップの活用

 それでは、架空の設定で知覚マップの活用法を見ていきましょう。

今回の架空事例

 A店はB町に店舗を構えるイタリアンレストランで、「お手頃な価格で家庭的なイタリア料理が味わえる」ことから長年地元住民に愛されてきました。ところが、駅前の再開発により大手外食チェーンが運営するイタリアンファミリーレストランと、有名シュフが経営する高級イタリアンの支店という競合店が相次いで開業しました。



 A店の置かれた環境を「価格」と「品質」をいう評価軸で知覚マップにまとめると、図6のようになります。

図6 A店のポジショニング:価格と料理の品質

 有名シェフ店は「価格は高いが、料理も高級志向」、大手外食チェーンは「価格は安く、料理はカジュアル志向」とそれぞれ独自のポジショニングをしています。一方、A店は競合と比較すると特徴がはっきりせず、中途半端なポジショニングとなっています。

 それでは、A店はどうすればよいでのしょうか? 自社のポジショニングを検討するには以下のアプローチがあります。

現在のポジショニングを強化する

 「市場での1番のポジションを確立している」「他社が追随できない独自のポジションを確立している」といったように、既に自社が市場の中において有利なポジションにいる場合なら、それを強化するアプローチが有効となります。しかしA店は有利なポジショニングとはいえない現状なので、このアプローチを採用することは難しいでしょう。

競合のポジションを弱める

 競合とあえて同じポジションを取ることで、競合の存在感を弱めるアプローチがあります。「同質化戦略」とも言われ、市場セグメント内で大きなシェアを握っているリーダー企業が、後発企業の参入に対抗する際に用いられます。しかし、これもA店には難しいアプローチです。

新しいポジションを創造する

 「強力な競合他社とポジショニングが重なっている」など、自社が不利なポジションニングにある場合、ポジショニングの軸を変更することで、新たなポジショニングを創出するアプローチです。ポジショニングの軸にはさまざまなものがありますが、代表的な軸としては以下のような軸があります。

  • 商品・サービスの本質的特徴
  • 付随サービス
  • 用途・目的
  • イメージ
  • 価格

 このアプローチなら、A店もできそうです。例えば、付随サービスに当たる「接客」を新しい評価軸としてポジショニングを再度行ってみます。すると、以下のようにA店は「地域密着型の接客と家庭的なイタリア料理」という価値を提供する存在として、競合他社と差別化を図ることができます(図7)。

図7 A店のポジショニング:接客と料理の品質

 ポジショニングが決定することで「自社がどのような価値を顧客に提供すべきなのか」が明確になり、取り組むべき施策を取捨選択しやすくなります。例えば、A店は、価格を下げて大手外食チェーンに対抗するよりも、「地域との密着性を強化するために、ポイントカードを発行する」などの施策を選択すべきということになります。

 さて、ここまでセグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングというプロセスを見てきましたがいかがでしょうか。

 セグメンテーションとターゲティングで「自社にとっての顧客が誰なのか」を、ポジショニングで「顧客にどのような価値を提供する存在となるのか」を決定する一連の流れが理解できたかと思います。これで「利益の出すための仕組み」の土台が出来上がりました。次は、標的市場へ実際にアプローチしていくことになります。その詳細は次回で解説しますのでご期待ください。

Profile

小山新太(こやまあらた)

MPA所属 中小企業診断士。販売促進やマーケティング、コミュニケーションスキルを専門とし、中小企業支援やセミナー講師などを行っている。



MPAについて

「MPA」は総勢70人以上の中小企業診断士の集団です。MPAとは、Mission(使命感を持って)・Passion(情熱的に)・Action(行動する)の頭文字を取ったもので、理念をそのまま名称にしています。「中小零細企業を元気にする!」という強い使命感を持ったメンバーが、中小零細企業とその社長、社員のために情熱を持って接し、しっかりコミュニケーションを取りながら実際に行動しています。

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