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» 2013年01月25日 22時20分 公開

マイクロモノづくり 町工場の最終製品開発(24):基板設計エンジニアが作る美しい基板アートで、電機業界不況に挑む (2/2)

[宇都宮茂/enmono,MONOist]
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バリューチェーンをつないで形にするプロデューサー

 さて、今回の記事から、いつも紹介してきたマイクロモノづくりのフレームワークに変更があります。町工場におけるクラウドファンディングの活用方法に関係するところです。実は、前々回、前回と紹介したニットー藤沢氏の事例も、変更されたフレームワークがしっくりときます。

新しいマイクロモノづくりにおけるバリューチェーン(enmono社資料より)

 クラウドファンディングの利用が、資金の調達になること自体はもともと想定していました。ただ、それだけではなかったのです。実際、クラウドファンディングを利用してみると、支援してくださる方の中にECサイトを運営している方がいて、それが商品化後の販路開拓につながったケースがあったのです。

 従来ですと、商品の在庫をためてから販路を開拓してきました。クラウドファンディングでは、試作段階で商品PRコンテンツを作成し、事前予約を受け付けますが、それが販路開拓につながっていくのです。

 これで、マイクロモノづくりの流れが一気に加速できるような時代になってきたことを実感しました。大手メーカーではクラウドファンディングのようなスピード感ある商品開発をかなえるのは難しいでしょう。小規模なメーカーの方が有利な時代になってきたように私は感じます。

 ということで、今回の加藤木氏について、マイクロモノづくりのフレームワークに当てはめて整理してみましょう。

 まず企画、テーマは加藤木氏自身が、プリント基板設計技術の可能性に挑戦し、「未来においても必要とされる産業でいたい」という自身の思いと志に従い、Healing Leafを企画しました。

 デザインに関しては、元同僚に協力してもらいました。試作については、加藤木氏自身で試作メーカーを探し、そこに依頼しました。

 そして、クラウドファンディングへのプロジェクト掲載に際しては、自分で動画や写真などのコンテンツを用意。支援者の対価(インセンティブ)となるステッカーなどは、仲間のデザイナーと協力して製作しました。今後について、CAMPFIREのプロジェクトの成否によって時期は変わりますが、いずれにせよ、量産したものを販売するプロセスに入っていきます。

 今回の事例は「マイクロモノづくりの現在進行形」といえます。うまくいくかどうかは現時点では分かりません。加藤木氏の事例は、とにかく「うまくいくまで継続すること」が大事になってくるでしょう。


発電会議のご案内

enmonoは、東京都大田区の町工場2代目集団「おおたグループネットワーク(OGN)」と組んで、「発電会議」という町工場が製品開発の種を見つけるためのオープンな商品企画会議を定期的に実施しています。製品企画の素となる発想は、1人ではなかなか難しいものです。この会が皆さんの「何を作るのか」というニーズ探しの一助になればと思っています。

開催予定日や会場、テーマなどの情報は、下記のFacebookページから確認できます。ぜひご参加ください。

>>「発電会議」(facebookページ)



Profile

宇都宮 茂(うつのみや しげる)

1964年生まれ。enmono 技術担当取締役。自動車メーカーのスズキにて生産技術職を18年経験。試作メーカーの松井鉄工所にて生産技術課長職を2年務めた。製造業受発注取引ポータルサイト運営のNCネットワークにて生産技術兼調達担当部長として営業支援に従事。

2009年11月11日、enmono社を起業。現在は、製造業の新事業立上げ支援(モノづくりプロデューサー)を行っている。試作品製造先選定、部品調達支援、特許戦略立案、助成金申請支援、販路開拓支援、プレゼン資料作成支援、各種モノづくりコンサルティング(設備導入、生産性向上のためのIT化やシステム構築、生産財メーカーの営業支援、生産財の販売代理、現場改善、製造原価、広告代理、マーケティング、市場調査、生産技術領域全般)など多岐にわたる。

Twitterアカウント:@ucchan

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