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» 2013年02月18日 13時55分 公開

韓国に負けたのか日本企業、燃料電池で東芝とパナが健闘知財ニュース(3/3 ページ)

[畑陽一郎,MONOist]
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どの分野に注力しているのか

 以上の調査結果は、固体高分子形燃料電池(PEMFC)と溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)に限って調べたものだ。燃料電池にはこれ以外の方式もある。そこで、パテント・リザルトは出願件数が多かった上位10社について、各種の燃料電池にまたがった調査も行った(図3)。

 対象としたのは、固体高分子形燃料電池(PEMFC)と溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)の他、直接アルコール形燃料電池(DAFC)と直接メタノール形燃料電池(DMFC)、動作温度が高い固体酸化物形燃料電池(SOFC)である(燃料電池の種類の違いについては記事末の囲みを参照)。

図3 どのような燃料電池の特許が多いのか 出願件数が多い上位10社について年代ごとに集計した。出典:パテント・リザルト

 図3を見ると、総合家電メーカーと自動車メーカーの違いがはっきりと分かる。図の上から3行に示したSamsung SDIと東芝、パナソニックは、直接メタノール形燃料電池(DMFC)や固体高分子形燃料電池(PEMFC)に関する出願が大半を占めている。なお、Samsung SDIの最新の傾向を見ると、2010年以降、固体酸化物形燃料電池(SOFC)分野への出願を増やしている。

 一方、ホンダと図には掲載されていないもののトヨタ自動車は固体高分子形燃料電池(PEMFC)と固体酸化物形燃料電池(SOFC)に関する出願が多い*3)

*3)両社は、2002年12月に世界初の燃料電池車(FCV)のリース販売を開始している。両社ともPEMFCを用いていた。


 パテント・リザルトは、今回の分析に加えて、ランキングトップ30の他、競合状況分析マップなどをまとめたリポート資料を販売している。

燃料電池にはどのような種類があるのか

 燃料電池とは、水素と酸素をゆっくりと反応させることで、電子の流れ(電流)と水を生み出す装置をいう。今回調査対象となったのはいずれも1980年代以降に開発が進んだ燃料電池である。

 燃料電池は複数の方式があり、利用可能な原燃料や動作温度、発電効率が異なり、用途が分かれる。

 固体高分子形燃料電池(PEMFC)は最も産業規模が大きく、携帯機器の他、日本国内では「エネファーム」などに利用されている(図A-1)。

図A-1 PEMFCのモデル 左の燃料極と右の空気極の間に電解質(固体高分子膜)を挟み込んだサンドイッチ構造を採る。燃料極側から水素(H2)を供給し、水素イオンのみが空気極に移動して、酸素と結合する。電流(赤い線)を燃料電池の外部に取り出して利用する。電解質には有機物のスルホン酸膜を利用することが多い。

 直接メタノール形燃料電池(DMFC)は直接アルコール形燃料電池(DAFC)の一種である。PEMFC、DMFC、DAFCという3種類の燃料電池はいずれも100℃以下の低温で動作する。

 溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)は650〜700℃で動作し、工場などの動力源として考えられている。固体酸化物形燃料電池(SOFC)は動作温度が900℃前後と高い。全ての燃料電池のうち、最も効率が高く、新型のエネファームなどで実用化されている。MCFCの電解質は溶融炭酸塩、SOFCの電解質はセラミックスからなる。



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