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» 2013年06月11日 10時00分 公開

3D技術のキーマンが語る「CADデータにまつわるエトセトラ」:日の丸3Dデータ技術で、3Dプリンタも出せるかも!? (2/2)

[吉村哲樹,MONOist]
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新たなCADビジネスの時代は到来するか?

栗崎氏 それにしても、長生きしている汎用のデータフォーマットって、意外と少ないですよね。XVLの他には、AutoCADのdxfぐらいか……後は、IGESやSTEPくらいですね。

鳥谷氏 IGESはデータ容量も大きいですしね。

栗崎氏 かつてCADベンダーで働いていたときに、お客さんが使っているCADソフトのデータをIGESに変換する作業を結構やりましたが、ダメなCADソフトの変換機能を使うと、もうまったく使い物にならないデータが出てきました。

鳥谷氏 大抵のCADベンダーは、データを自社フォーマット以外のフォーマットで出力することを嫌がるんですよね。CADベンダーのトップエンジニアはCADの先端機能の開発をするので、フォーマット変換機能の実装は、そうではないエンジニアにやらせることが多いんです。その結果、問題の多いIGESやSTEPが吐き出されてしまう。

栗崎氏 一方CADベンダーの開発するツールも進化しています。「Autodesk 123D」ですが、汎用3次元CADにはかなわないものの、あれだけの機能があって、MacでもiPadでも動いて、無料です。

鳥谷氏 あれは画期的なことですよね。

栗崎氏 オープンソースやクラウドの波は、3次元CADにも確実に訪れつつあります。CADベンダーも、ビジネス・モデルの変革をしなければならない時代になりつつあります。逆にXVLは、CADが無料になろうがオープンソースになろうが、そこで生成される3次元データを後工程で活用するためのソリューションですから、これからも十分に存在価値を発揮していけそうですね。

3Dプリンタが誰でも使える時代は果たして訪れるのか?

栗崎氏 個人的には、XVLは3Dプリンタの標準フォーマットになってほしいんですよ。

鳥谷氏 それはぜひやってみたいですね!

栗崎氏 オバマ大統領が演説で3Dプリンタに言及したことによって、3Dプリンタがにわかに注目を集めています。既に20万円ほどで個人が購入できる3Dプリンタが出ていますね。

鳥谷氏 ただ、将来3Dプリンタ自体がいくら安くなっても、3次元CADの使いこなしの方がボトルネックになるのではないかと考えています。いくら123Dがただで使えるとは言っても、それを使って例えばメガネの3次元モデルを作れる人は、そうはいませんからね。

栗崎氏 同感ですね。私は「カジュアル3D」という言葉がとても好きで、要は誰でも気軽に3次元を活用できるという意味なんですが、実は「3次元モデルを誰でも作れる」ことがカジュアル3Dだとは思っていないんです。鳥谷さんがおっしゃるように、3次元モデリングの作業には極めて特殊な技能が必要です。そうではなくて、既にある3次元部品を気軽に組み合わせれば、簡単に3Dプリンタでモノが作れるような世界こそが、カジュアル3Dだと考えています。

鳥谷氏 まさにそういうところで、XVLが3Dプリンタの標準データフォーマットになる可能性があると考えています。世の中に流通しているさまざまなXVLライブラリを自由にダウンロードして組み合わせれば、3Dプリンタが使えてしまう。これぐらい利便性が高い環境にならないと、今メディアが騒ぎ立てているような3Dプリンタ全盛時代は絶対に訪れないでしょう。

栗崎氏 まさに、3Dのデパートやスーパーマーケットですね。ジャガイモとニンジンとタマネギをスーパーで買ってきてカレーライスを作るような感覚で、3Dプリンタが使えるような世界。実際のところ、ある3Dプリンタメーカーでは、iPhoneケースなどの実用品や玩具などのデータの提供を始めています。3次元データをコアにした新しいビジネス・モデルが出てきそうな予感がします。

鳥谷氏 そういう世界になると、3次元データの軽さがとても重要になってきますから、XVLは有利だと考えています。

栗崎氏 そうなってくると、それこそラティス・テクノロジーが3Dプリンタを出すということだってあり得ますね。決して「夢のまた夢」というわけではない。

鳥谷氏 あり得ると思いますよ! ぜひ図研さんと一緒にチャレンジしてみたいですね。

栗崎彰氏よりお知らせ

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>>¥0から始める設計者CAE Facebookページ

栗崎氏の過去記事


第24回 設計・製造ソリューション展(DMS2013)

会期 2013年06月19〜6月21日 10:00〜18:00※最終日のみ17:00終了

会場 東京ビッグサイト

図研(プリサイト事業部、EDA事業部)およびラティス・テクノロジー ブース情報

東ホール(小間番号:16-29、10小間)


第24回 設計・製造ソリューション展特集

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本文執筆

吉村 哲樹(よしむら てつき)

早稲田大学政治経済学部卒業後、メーカー系システムインテグレーターにてソフトウェア開発に従事。 その後、外資系ソフトウェアベンダーでコンサルタント、IT系Webメディアで編集者を務めた後、現在はフリーライターとして活動中。


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