日産のCMFは新車の開発投資を40%削減可能、新型「エクストレイル」から導入製造技術

ルノー・日産アライアンスは、車両設計の基礎となるプラットフォームにモジュールコンセプトを持ち込んだ「コモン・モジュール・ファミリー(CMF)」の導入計画やコスト削減効果を発表した。2013年後半以降に日産自動車が発売する「エクストレイル」などの後継モデルから適用される。CMFにより、個々の新車を設計する際に掛かる投資コストを40%削減できるという。

» 2013年06月21日 16時43分 公開
[朴尚洙,MONOist]
「CMF」のイメージ

 Renaultと日産自動車のアライアンス(ルノー・日産アライアンス)は2013年6月19日(欧州時間)、車両設計の基礎となるプラットフォームにモジュールコンセプトを持ち込んだ「コモン・モジュール・ファミリー(CMF)」の導入に向けたスケジュールや規模、コスト削減効果を発表した。CMFについては、2012年2月に日産自動車からコンセプトと2013年後半以降に発売する車両の設計に導入されることだけが発表されていた(関連記事:6週間に1つ新車を投入するには? 日産のモジュラー設計)。

 CMFは、エンジンコンパートメント、コックピット、フロントアンダーボディ、リアアンダーボディ、電気/電子アーキテクチャといったモジュールを組み合わせて、ルノーと日産自動車の新型車両を低コストで開発できるようにするためのプラットフォームである。従来は、車両セグメント(欧州におけるサイズによる車両の分類)ごとに、プラットフォームが分かれていたが、CMFは1つのプラットフォームでありながら、全ての車両セグメントをカバーできる。設計効率の向上による商品開発や工程開発の投資削減や、使用部品の共通化によるコスト削減を図れるとともに、車両の生産台数を引き上げる効果もあるという。

「CMF」のイメージ 「CMF」のイメージ。オレンジの部分がエンジンコンパートメント、青色の部分がコックピット、水色の部分がフロントアンダーボディ、緑色の部分がリアアンダーボディである。これら4つのモジュールをつなぐように間に挟み込まれているのが電気/電子アーキテクチャである(クリックで拡大) 出典:ルノー・日産アライアンス

 こういったモジュールコンセプトを導入したプラットフォームは、Volkswagenの「MQB」(関連記事:VWはモジュール化だけじゃない、車載システムの“民主化”にも取り組む)やトヨタ自動車の「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー(TNGA)」(関連記事:TNGA&開発体制の改革で「グローバルビジョン」達成を目指すトヨタ)などがある。

「エクストレイル」「デュアリス」から導入

 ルノー・日産アライアンスは、CMFの導入を、コンパクト(Cセグメント)とラージ(Dセグメント)から始める。両セグメントに属する車両の年間生産台数は160万台で、車種数は14(ルノー11車種、日産自動車3車種)である。CMFを使って新たに開発されるのは、日産自動車が2013年後半に発売を予定しているSUVの「エクストレイル」、「キャシュカイ」(日本名:「デュアリス」)、「ローグ」の後継モデルが最初になる。ルノーで最初にCMFを使って開発されるのは、2014年後半に発売を予定しているミニバン「エスパス」と「セニック」、中型車「ラグナ」の後継モデルである。

 CMFの導入により、ルノー・日産アライアンスのトータルで、部品購入コストを20〜30%削減できる。また、個々の新車を設計する際に掛かる投資コスト(商品開発+工程開発)は30〜40%削減できるという。これは、ルノーの「モデュス」と「クリオ」、日産自動車の「マイクラ」(日本名「マーチ」)向けに導入した、Bセグメント向けプラットフォームによるコスト削減効果を大幅に上回るという。

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