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» 2013年07月08日 11時00分 UPDATE

小寺信良が見たモノづくりの現場(5):“みんなここにいる”の強さ――長野発「ソニーのVAIO」が尖り続ける理由とは (4/5)

[小寺信良,MONOist]

製造方法を海外拠点に展開

 もちろん、製造コストも度外視しているわけではない。製造に関して複数の方法を開発したのち、その中で最も安定しており、さらにコスト面でも採算が合うものを量産ラインに導入する。そしてその方法がスタンダード化し、誰でも作れるようなレベルになってきたら、海外製造拠点に技術を降ろしていくという流れだ。

コネクタレス接続用のカスタム治具 コネクタレス接続用のカスタム治具(クリックで拡大)

 VAIO Duo 13の底面は、タブレットとして使用しているときには他人から丸見えになる。従って、なるべくねじ穴が見えないように工夫する必要がある。そこで表から斜め方向にねじ留めすることにした。

 しかし、斜め方向の穴は、金型を使った樹脂成形では作れない。金型は上下にしか開かないため、斜めに出っ張った部分が引き抜けないのである。そこでねじ穴部分を、接着によって製造することになった。

接着によって作られた斜めのねじ穴 接着によって作られた斜めのねじ穴(クリックで拡大)

 問題は、どのように強度を担保するかということである。ポイントは、2液混合接着材の混合比率のブレを減らすこと、もう1つは硬化時間を確保することだ。

2液混合された色を画像分析で監視 接着剤が2液混合された色を画像分析で監視(クリックで拡大)

 まず接着材の2液の色が違うことに着目した。混合比の精度は、混ざった後の色で判断できる。そこで塗布された接着材の色を暗室でカメラで撮影し、画像分析によって監視することにした。

 また接着材の硬化には、4時間以上が必要だ。そこで接着が終わったパーツのバーコードをスキャンすることで、サーバ上で4時間のタイマーにかけ、管理することにした。組み立て工程で4時間未満のパーツが流れてきても、自動的にはじかれるようになっている。

 これらのように、事業本部が一体となり、設計、製造の枠を超える体制ができたことが、商品の競争力を実現するのに、大きな役割を果たしているというわけだ。

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