海だ!山だ! いやいや工場はいかが?――工場見学で押さえたい3つのポイント夏休み企画 工場萌え!(1/2 ページ)

工場見学がブームとなっていますが、子どもにうんちくの1つでも傾けて「パパすごい!」と尊敬でも勝ち取ってみるのはいかかでしょうか。そこで「工場のここに注目してほしい」というポイントについてベテラン工場ライターがお教えします。

» 2013年07月31日 10時00分 公開
[大澤裕司,MONOist]

 「いやあ! 工場見学って本当にいいもんですね」というわけで、今回は工場見学でぜひ見てほしいポイントについてお伝えしようと思います。筆者はモノづくりや工場をテーマとする取材を続けていますが、工場にはとても奥が深い魅力があります。そんな工場を無料で気軽に見学できる「工場見学」が身近になってきたのは本当に素晴らしいことだと感じています。




夏休みのレジャーに「工場見学」

 ちょうど今は夏休みですので、ぜひ親子で工場見学を楽しんでみてはいかがですか。工場見学は親も子どもも本当に楽しめる抜群のレジャーです。MONOistの読者は、設計や開発、生産などモノづくりに関係する人々が中心だと思いますが、工場見学は普段自分が接することのない業界のモノづくりを知る絶好の機会となります。そして子どもにとっては、普段は目にすることがない機械類が動いている様子や、作業者が技を駆使して手際よく作業する姿が、新鮮な刺激になるに違いありません。夏休みの自由研究にもできますしね。

工場見学イメージ 工場夜景ブームなど「工場」への注目度はここ数年高まるばかりだ。

 夏休みは数多くの企業が見学の受け入れを行っています。人気の工場見学スポットについては、ねとらぼの「行ってよかった工場見学ランキング、1位はどこ?」などが詳しいので譲るとして、今回は工場見学時に知っていると、より理解が深まる3つのポイントについてお伝えしようと思います。

 工場見学に行けば、製品ができるまでの過程が順を追って理解できます。しかし、せっかくの工場見学で、モノができる過程を知るだけというのは少しもったいないです。この機会を利用して「工場がどういうことを大事だと思って運営しているか」ということに目を向けてみましょう。モノづくりに対する見方も変わりますし、ガイドが説明しないことをお父さん、お母さんが説明することで子どもからの視線も変わることは間違いありません。

 なお、今回紹介する3つのポイントは基本的にはどんな工場でも使えるものですが、全ての工場に当てはまらない可能性もあります。また、見学コースなどでこれらのポイントが見られない場合もありますので、その点はご了承いただけると幸いです。

1つ、工場は美しくあれ

 よく自己啓発本や雑誌などで「仕事のデキル○○の机」や「仕事のデキル○○の手帳術」などの記事がありますよね。「眉ツバだな」と思うときもありますが、一流の人たちの所作は一定の法則の基で動く整理された美しさを持っています。これは工場でも同様です。いい工場というのは一目で分かる機能美や動作美を備えています。

 実際に工場を運営する際には、基本中の基本として「3S」という言葉が語られます。3Sとは整理整頓清掃の頭文字から取った造語です。実は、この3Sに清潔しつけを加えた「5S」という言葉の方がむしろ定番です。ただ、ここでは見学などの短時間でも確認できる3Sに注目して頂きたいと思います。

 パッと見て「汚いな」とか「整理されていないな」とか思ってしまう工場は、生産性や製品品質、作業の安全面で問題を起こす可能性が高いと見られます。もしくはラインの組み替えなど何らかの通常業務以外の事態が発生していることが考えられます。工場内のそういう場所を見つけたら「ここは何をしているのですか」と聞くと、通常の見学では、知ることができない話が聞けるかもしれません。

工具 工具の管理は3Sでも重要なポイント

 では具体的に「3Sができている、できていない」とはどういうことを指すのでしょうか。

 3Sができている工場はまず、作業エリアと通路が明確に分けられ、通路に余計なモノが飛び出したりしていることがありません。また、清掃のしやすさを考えて設備類にキャスターを付けている工場もあるので、足元を注意してみて見るといいでしょう。さらに、清掃が普段から徹底できているところはトイレもきれいにしているはずなので、トイレをチェックしてみるのもいいかもしれません。

 そして、もし生産ラインに近づくことができたら、作業者周辺の整理・整頓状況をよく見てください。3Sができていたら、作業に必要な工具類や部品類が使いやすいよう機能的に配置されているはずです。1つの製品を作り上げるにはときには数万点にも及ぶ、驚くほどの数の部品を組み立てる必要があるのですが、実際にそうしたあふれるモノの中で作業していると必ずミスが起こります。良い工場はそういう作業手順や工具の配置などがとても深く考えられていて、その結果、作業者は円滑で流れるような動作が可能となり、スポーツ選手の動きのような美しさを持つことになります。

 また、3Sができている工場は、使い終わった道具類を決まった場所にしか戻せないよう、作業台などに工具類の形にくり抜かれたプラスチックボードやスポンジシートを貼り付ける、といった工夫をしているところもあります。このような整頓を徹底させるための工夫は、オフィスや家庭でも使えるものが多いので、注目してみると面白いかもしれません。

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