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» 2013年08月23日 10時05分 公開

本田雅一のエンベデッドコラム(25):自社製品を“より良いモノ”にするための意識改革 (3/3)

[本田雅一,MONOist]
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規模を追い掛け過ぎて見えなくなること

 もちろん、モノづくり、製造業といっても実に多様だ。こうして1本の連載記事を書いていると、いつもその部分に悩む。唯一無二の正解など存在しないからだ。ただ、共通して言えるのは、「世の中の大きな動き、足元が動く地殻変動のような“メガトレンド”に対して、目をそらし、知らないふりをしてはいけない」ということだ。

 言うまでもなく日本の人件費は高い。単純な生産という部分にフォーカスしていては、どんなに頑張り、知恵を絞り、創意工夫をしたとしても、いずれは競争力を失っていく。別の軸、より良い製品を生み出すための方法論や環境作り、企業間のつながりなどを見直し、これまでの価値観をいったんリセットしなければならない。

 話題としては“今さら”感のある話だが、このところアクションカメラ「GoPro」について思い返すことがとても多い。今やソニーもパナソニックも……いやいや、ほとんどのビデオカメラメーカーが作っているアクションカメラだが、GoProがビジネスを始めたころ、どのメーカーに話を聞いても鼻にもかけていないという反応だった。

GoPro HERO3 Black Edition GoPro HERO3 Black Edition

 前後してWeb動画共有サービスに特化した低価格カムコーダが登場し、カムコーダの単価が大きく下落した(販売台数も下降していた時期だ)。スマートフォンの影響でカムコーダの売上が激減するよりも前の話とはいえ、ビデオカメラという製品の使われ方が大きく変わりそうなタイミングだったというのに、それでも危機感が薄かった。

 その後、アクションカメラ市場は急拡大し、カムコーダ市場は急減。ビデオカメラ市場における伝統的なカムコーダの販売台数は、かつての3割前後しかないという状況に陥った。その一方で、台数ボリュームはそれほど大きく下がらなかったのだが、それはアクションカメラが増えたからだ。ニッチ市場とバカにしていた大手メーカーも今や、グローバル展開することでニッチ市場を大きな市場に化けさせたGoProを追従している。

 大手メーカーの論理で話をする人たちとディスカッションしていると、「そんなものは規模的にうちではやれない。ニッチ過ぎる」と切り捨てられることが多いように思う。だが、ニッチ市場は“ニーズが明確”だ。さまざまなニッチに対してきちんと“正解”を提供すれば、それはいずれブランド力となり、グローバル展開を進めることで規模を出せる。GoProはその好例だ。



 市場の急変には必ず何か理由がある。その理由は何なのか。誰がどんな知恵を絞ってビジネスモデルを作ろうとしているのか。そこにフォーカスすれば、また違った景色が見えてくるものだと思う。


筆者紹介

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本田雅一(ほんだ まさかず)

1967年三重県生まれ。フリーランスジャーナリスト。パソコン、インターネットサービス、オーディオ&ビジュアル、各種家電製品から企業システムやビジネス動向まで、多方面にカバーする。テクノロジーを起点にした多様な切り口で、商品・サービスやビジネスのあり方に切り込んだコラムやレポート記事などを、アイティメディア、東洋経済新報社、日経新聞、日経BP、インプレス、アスキーメディアワークスなどの各種メディアに執筆。

Twitterアカウントは@rokuzouhonda

近著:ニコニコ的。〈豪華試食版〉―若者に熱狂をもたらすビジネスの方程式(東洋経済新報社)


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