これがFablabスタイル! 世界中の人たちによるワイガヤモノづくりキャンプ「Fab9」世界Fablab代表者会議Fab9レポ【後編】(3/4 ページ)

» 2013年09月18日 08時00分 公開
[高須正和/ウルトラテクノロジスト集団 チームラボ,MONOist]

音楽で始まったFab9

 Fab9のオープニングレセプションは、あいさつの後、ジャズバンドで始まった。Fab9の実行委員長で慶應義塾大学環境情報学部准教授の田中浩也氏がサックスを吹き、慶應義塾大学 環境情報学部 教授の増井俊之氏がピアノを弾く。日本の自作楽器の中では大御所になりつつある、あの「ウダー」の宇田道信氏も加わる。

Fly me to the moon など、Jazzのスタンダードナンバーを演奏

 会場に集った、各地からの参加者の声も、これからのFablab代表者会議に期待していて、明るい。

 2010年Fab6(オランダ)のオーガナイザーであるペーター・トロクスラー氏は「Fab6の参加者は120人で、集まるのもヨーロッパからの人々が多かった。今は規模が大きくなって250人。世界中から人が集まっている。見違えたね。1970年代にモノづくりブームがあったけど、それがまた戻ってきたようだよ。しかも、今はツールが進化して持ち運びやすくなり、より普及しやすくなっている。オランダや日本みたいに過密な街とFabは相性がよい。東京は初めてなのでいろいろ見て回るのが楽しみだ」と語った。

 初参加の人からは「Fablab代表者会議は初めての参加なんだ。多くのFablabの人の連絡先がほしいし、多国籍の人々でプロジェクトをすすめる経験を学びたい」(サウジアラビアから)という声が聴かれ、何回も参加しているベテランからは「毎回新しいメンバーに出会えるのが楽しみだ!」(アメリカから。参加は5回めとのこと)という声が聞かれた。

 他は……、

  • 「子どもに小さいロボットを作るワークショップをやりたい」(ロシア)
  • 「電子工作とプログラミングでスチームパンク風味のロボットを作ってMaker Faireに出したいね」(Hack NYというイベントのオーガナイザー アメリカから)
  • 「ガーナのFablabの様子をプレゼンしに来た」(ガーナ)

 ……など、会場内では活発な交流が行われていた。

東ティモールから参加の工学部教授マーフィム氏は「東ティモールでFablabを作りたい ここはいろんな人とfacetofaceで関係を作れていいね」とのこと。最終日には「十分、Fablabを作るノウハウとエネルギーがもらえたよ!」と元気いっぱいだった。
ウダーを触るソウル出身のパク氏。「完成された楽器だね。訓練次第でどんな曲も弾けそうだ」
そこかしこで情報交換が始まる
東芝ブース MATHRAX氏の升オルゴール展示。年輪がレコードのように見えるオルゴール。「木に触れることが少なくなった人々に年輪を意識してほしかった」というストーリーが来場者に人気

 会場内の展示を興味深く見つめる参加者も。「どうやって作ったの?」ということだけでなく、「何がきっかけでこのアイデアに?」「何のために作ってるの?」「これを作ることで何をしたいの?」という目的や、社会の中の位置付けに関心がある質問が飛ぶ。ここには作り方そのものよりも作るプロセスや、なんの理由でそれが生まれたかに関心がある人たちが集まっている。

 オープンソースの展示物は、「自分たちのワークショップに取り入れよう」と食いついてくる人もいた。

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