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» 2013年09月27日 13時30分 公開

今井優杏のエコカー☆進化論(4):サイクリストのハートをわしづかみ、ボルボとスバルは自転車にもぶつからない (2/3)

[今井優杏,MONOist]

ボルボの「サイクリスト検知機能」

 まずはボルボです。

 ボルボは、ミリ波レーダーと赤外線レーザー、そして広角カメラを使って危険を察知します。これらのうち、今回発表されたサイクリスト検知機能で主に使用されるのはミリ波レーダーと広角カメラです。

 じゃあ赤外線レーザーはなんやのん? と言いますと、既にほぼボルボの全車両に搭載されている「シティセーフティ」という安全技術のため。

 これは文字通りシティ、すなわち市街地における時速4〜50kmという低速走行時に作動する衝突回避・被害軽減オートブレーキシステムです。ルームミラー前方に設置された、左右中央3つの赤外線レーザーセンサー(フロントガラスの上方中央に設置されたカメラのようなもの)を使って、6m以内にいる前方車両の動きを検知。車車間の相対速度が時速15km以下の場合に衝突を回避し、時速15〜50kmの場合は衝突による被害を軽減するというもの。

 赤外線レーザーなので、近くにあるものを夜間でも確実に捉えられるというわけです。

「シティセーフティ」の概要 「シティセーフティ」の概要(クリックで拡大) 出典:ボルボ・カー・ジャパン

 一方、遠方のものを検知するのに特性を発揮するのが、クルーズコントロールでもおなじみのミリ波レーダー。ボルボでは、検知範囲が最大60mの中距離レーダーと、同150mの長距離レーダーを組み合わせ、フロントグリルに内蔵して前方の障害物を検知します。

 さらに、先述の赤外線レーザーとほぼ同じ場所に設置されている広角カメラが、歩行者や自転車に乗るサイクリストを識別するのです。

 識別可能な障害物の数は最大15個といいます。発表会当日に来日していた、スウェーデン本社のボルボ・カー・コーポレーションのセーフティーセンターでシニアマネージャーを務めるヤン・イバーソン氏に確認したところ、「障害物を識別する際に優先順位はない。全て同時に感知する」とのことでした。自由が丘の駅前みたいに、歩行者と自転車、自動車が入り乱れるような駅前風景でも問題ないとのことです。

「サイクリスト検知機能」の識別イメージ(クリックで拡大) 出典:ボルボ・カー・ジャパン

 スウェーデン本国で開発された技術ではありますが、もちろん世界中で実証実験を行っています。そのモデル地域の1つには日本も入っていたそうです。

 さて、サイクリスト検知機能の動作条件ですが、「同じ方向を走っている自転車が突然ぐにゃっと進路を変えて自車両の前に飛び出し、衝突が避けられないと判断したとき」、フロントガラスに赤い警告灯がチカチカと点滅し警告音が鳴ります。さらにその状態からブレーキが踏まれないと、自動ブレーキによって停止(衝突を回避、という表現が使われています)します。ただし、自動ブレーキで停止し、衝突を回避できるのは、車両の走行速度が50km以下で、かつ自転車との相対速度差が時速15km以下の場合。サイクリスト検知機能は時速80kmまで動作するので、時速50〜80kmで走行している場合には、自動ブレーキによって自転車との衝突被害を軽減します。

「サイクリスト検知機能」の概要 「サイクリスト検知機能」の概要(クリックで拡大) 出典:ボルボ・カー・ジャパン

「アイサイト」も自転車を検知できる

「アイサイト」に用いられる2つのカメラ 「アイサイト」に用いられる2つのカメラ(クリックで拡大) 出典:富士重工業
「アイサイト」は、歩行者やクルマの他に、自転車も検知できる 「アイサイト」は、歩行者やクルマの他に、自転車も検知できる 出典:富士重工業

 一方、スバルのアイサイトですが、こちらはフロントガラス上方、ルームミラーの左右あたりに備えられた2つのカメラで車両前方の情報を検知します。

 感覚的に言えばレーダーとかレーザーとかいう軍事じみた目に見えないものを武器にする最先端技術に比べ、カメラという比較的原始的な技術でそんな認識が可能なんかいな、と一瞬不安になりますが、CCDカメラはだてじゃない。しかも2つあることがスバルのウリなのです。

 人間の両目のように、障害物を立体的に捉えることで、視覚として歩行者、自転車、自動車の識別を行えるのです。だから、アイサイト(EyeSight)。イイ名前ですねぇ。

 ちなみに障害物との相対速度が時速30km以下であれば衝突を回避、それ以上では衝突被害を軽減します。

 障害物を検知した際の動作手順としては、まず警報が鳴ります。続いて、弱いブレーキでドライバーに注意を喚起。それでもブレーキ操作がなければ、強いブレーキングで停止もしくは減速します。

「アイサイト」の動作イメージ 「アイサイト」の動作イメージ 出典:富士重工業

 スバルは、2010年という早い段階でアイサイトを商品化して以来、既に2世代目に突入し、その精度を向上させています。緊急回避はもちろん、普段の運転での追従性など、クルーズコントロール機能の使用感もとてもいいです。

 私の周囲でも、「もうアイサイトが付いていないクルマには乗りたくない」という声があるほど。納入新車中のアイサイトの装着率も、レガシィではなんと9割、アイサイト装着対応車の平均でみても7割を超える人気ぶりから、その信頼度を強くうかがうことができますね。

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