新型「オデッセイ」はなぜ超低床化しなければならなかったのか「アルファード」「エルグランド」と比較(1/3 ページ)

ホンダの新型「オデッセイ」は、全高を従来モデルの1545mmから150mm引き上げて1695mmとするとともに、超低床プラットフォーム」を採用。上級ミニバンとして競合する、トヨタ自動車の「アルファード/ヴェルファイア」や日産自動車の「エルグランド」と同等クラスの室内高さを実現した。

» 2013年11月01日 16時50分 公開
[朴尚洙,MONOist]
新型「オデッセイ」とホンダの伊東孝紳氏

 ホンダは、同社ミニバンのフラッグシップモデル「オデッセイ」をフルモデルチェンジし、2013年11月1日から販売を開始した。1994年発売の初代から数えて5代目となる新型オデッセイは、車室の広さと快適さを高い次元で両立させた上級ミニバンを目指して開発された。全高を、4代目の1545mmから150mm引き上げて1695mmとするとともに(いずれもFF車の場合)、「超低床プラットフォーム」を採用。全高が1800mm以上で、上級ミニバンとして競合するトヨタ自動車の「アルファード/ヴェルファイア」や日産自動車の「エルグランド」と同等クラスの室内高さを実現した。月間販売目標台数は4000台である。

新型「オデッセイ」とホンダの伊東孝紳氏 新型「オデッセイ」とホンダの伊東孝紳氏(クリックで拡大)

 ホンダ社長の伊東孝紳氏は、「ミニバンブームの火付け役となったオデッセイは、多人数乗用車として時代の先駆者となり、常に新しい挑戦を続けてきた。5代目となる新型オデッセイは、従来モデルで評価されてきた走行性能や燃費などの乗用価値と、広い室内空間に代表される上級ミニバンとしてのユーティリティー価値を高次元でバランスさせた。居住性、走り、燃費、デザイン、使い勝手、安全性能の全てが進化している」と述べる。

立体駐車場の高さ制限が目安

 新型オデッセイは、2008年発売の4代目オデッセイと2003年に発売したオデッセイの派生車種「エリシオン」を統合した車両になる。4代目オデッセイは高さ制限が1550mm以下の立体駐車場に入るほど全高が低いことを特徴としており、ミニバンではなくステーションワゴンと言えるほどだった。アルファードやエルグランドと競合していたのは、オデッセイではなく全高が1800mm程度あったエリシオンである。

4代目「オデッセイ」(左)と「エリシオン」(クリックで拡大) 出典:ホンダ

 オデッセイといえば、ミニバンではあるものの、全高の低さと、そこから来る低重心による安定した走行性能が特徴になっていた。新型オデッセイには、低重心による走行性能と、エリシオン並みの広い室内空間の両方が求められていたのだ。

 単純に全高を引き上げるだけでは、“オデッセイらしさ”が失われることになる。しかし、アルファードやエルグランドの室内高さを確保するには、全高を引き上げないわけにはいかない。そこで、新型オデッセイの全高の目安となったのが、4代目オデッセイと同じく立体駐車場の高さ制限である。設置数が増えている高さ制限1700mm以下の立体駐車場に入庫できるように全高を抑えることにしたのだ。

 しかし、全高を1700mmに引き上げたとしても、全高1900mm前後のアルファード/ヴェルファイア、全高1815mmのエルグランドに対して、室内高さが100〜200mm程度低くなってしまう。この100〜200mmという全高の差を埋めるために開発されたのが、超低床プラットフォームである。

「乗用価値」と「ユーティリティー価値」を両立させる「超低床プラットフォーム」 「乗用価値」と「ユーティリティー価値」を両立させる「超低床プラットフォーム」(クリックで拡大) 出典:ホンダ
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