「かぼちゃんが24時間見守ります!」――「エレキバン」のピップが手掛けるエージェント型見守りロボット2013国際ロボット展

ピップは「2013国際ロボット展」の経済産業省ブースにおいて、「2013年度 ロボット介護機器開発・導入促進事業」の採択テーマ「認知症の方の見守りエージェント型ネットワークロボット研究開発プロジェクト」に関する展示を行った。

» 2013年11月07日 17時17分 公開
[八木沢篤,MONOist]
ピップ「見守りかぼちゃん」

 ピップは、国内外の民生用/産業用ロボットが一堂に集まる「2013国際ロボット展」(会期:2013年11月6〜9日/東京ビッグサイト)の経済産業省ブースにおいて、「2013年度 ロボット介護機器開発・導入促進事業」の採択テーマ「認知症の方の見守りエージェント型ネットワークロボット研究開発プロジェクト」に関する展示を行った。

 (1)エージェント型見守りロボット、(2)飲み忘れ防止・服薬管理薬箱、(3)各種見守りセンサーで構成され、これらをネットワーク接続して収集した各種情報をサーバ上で管理することで、高齢者や認知症患者の生活支援・見守りを実現しようというプロジェクト。介護施設などの各居室内での利用を想定しており、取得した各種情報に基づいたアラームや行動情報が、施設内の介護従事者や施設外に暮らす家族のもと(スマートフォンやタブレット端末など)に送られる。


 エージェント型見守りロボットは、ピップが既に製品化(2011年11月発売)しているコミュニケーションパートナーロボット「うなずきかぼちゃん」に、24時間の見守り機能を付加した「見守りかぼちゃん」(開発中)が用いられる。具体的には、既存のうなずきかぼちゃんの機能に、ネットワーク接続するための無線ユニット、ワイヤレス給電技術(協力:村田製作所)などが追加される。日中は、高齢者とコミュニケーションをとりながら、メンタルケアや生活リズムのペースメーカー役を務める。従来のうなずきかぼちゃんは乾電池で駆動していたが、見守りかぼちゃんには非接触給電の受電モジュールが組み込まれている。「専用のイス型充電器(送電モジュール内蔵)とセットで利用することで電池交換の手間や電池切れなどのリスクを軽減できる」(説明員)という。

見守りかぼちゃん エージェント型見守りロボット「見守りかぼちゃん」

認知症の方の見守りエージェント型ネットワークロボット研究開発プロジェクト 「認知症の方の見守りエージェント型ネットワークロボット研究開発プロジェクト」のパネル ※画像クリックで拡大表示

 飲み忘れ防止・服薬管理薬箱には、1日4回分の服用時間管理が可能な「くすりばこ」が用いられる。設定した服用時間になると、アラーム音が鳴り、飲むべき薬が格納されている箇所が点灯する仕掛けになっている。アラーム発報と箱を開けた情報をログとしてサーバに送り、服用情報として管理する。

 その他、居室内に設置される見守りセンサーモジュールとして、掃除機の利用などを監視する「電流検知モジュール」、台所など特定の場所にいたことを検知する「距離センサーモジュール」、室温計測を行う「温度センサーモジュール」、ベッドから起き上がったかどうかを検知する「離床センサーモジュール」、トイレ・浴室の明かりのON/OFFで使用状況を監視する「照度センサーモジュール」、外出・帰宅などを検知する「人感センサーモジュール」、室内で緊急ボタンが押された際にメール送信を行う「緊急ボタンモジュール」などがある。これらセンサーモジュールは全て設置する必要はなく、症状や住環境などに応じて自由に組み合わせ・選択できるという。

 「例えば、温度センサーモジュールが室温36℃以上を検出した場合、担当の介護従事者にメールを送信し、すぐに駆け付けてもらうことで、熱中症による死亡事故を未然に防ぐことができる。また、離床センサーモジュールでベッドから起き上がったことを検知すると、見守りかぼちゃんが『あれ、こんな時間にどうしたの? 寝ようよ、寝ようよ』と促してくれる。高齢者が見守りかぼちゃんに気を取られている間に、メールを受け取った介護従事者が駆け付け、徘徊によるケガや事故などが起きる前にケアすることができる」という(説明員)。

こちらは既存のコミュニケーションパートナーロボット「うなずきかぼちゃん」 こちらは既に製品化されているコミュニケーションパートナーロボット「うなずきかぼちゃん」。ピップのブースにて

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