ヤマハ発動機の次世代「PAS」は脱ママチャリ! スマホ連携機能も搭載東京モーターショー2013

ヤマハ発動機は、「第43回東京モーターショー2013」において、電動アシスト自転車「PAS」の次世代コンセプトモデル「YPJ-01」を披露した。「ママチャリ」のイメージが強い現在の電動アシスト自転車とは異なる新たな市場を開拓するために開発された。

» 2013年11月27日 16時15分 公開
[朴尚洙,MONOist]
ヤマハ発動機の「YPJ-01」

 ヤマハ発動機は、「第43回東京モーターショー2013」(2013年11月20日〜12月1日、東京ビッグサイト)において、電動アシスト自転車「PAS」の次世代コンセプトモデル「YPJ-01(イプシロンプロジェクトゼロワン)」を披露した。

 PASは発売から20周年を迎えるロングセラー商品であり、電動アシスト自転車の代名詞にもなっている。これに対してYPJ-01は、PASの次なる20年を見据えて、電動アシスト自転車の新たな市場を開拓するために開発されたスポーツタイプの電動アシスト自転車だ。

ヤマハ発動機の「YPJ-01」 ヤマハ発動機の「YPJ-01」(クリックで拡大)

 電動アシスト自転車は、買い物や近距離の移動に使う、いわゆる「ママチャリ」のイメージが強い製品だ。楽に走行することこそがユーザーの要求だったこともあり、電動アシストを行う範囲が非常に広く設定されている。のべつまくなし電動アシストしているので、電池パックの容量も大きくせざるを得なかった。この大容量の電池パックが、車両重量の増加を招いたのだ。

 これに対してYPJ-01は、「電動アシストと自転車、それぞれの良さを引き出す」(ヤマハ発動機の説明員)ことを目的に開発された。発進や加速、登坂の際には電動アシストするが、巡航走行時には電動アシストせずに、できるだけ自転車としての乗り味を楽しんでもらえるよう、「パートタイムアシスト」という電動アシストの手法を採用している。このため、大型の電池パックを搭載する必要がなくなり、大幅な軽量化に成功した。車両重量は、一般的なスポーツタイプ自転車とほぼ変わらない10kg台前半に収めているという。

「YPJ-01」の電池パックとドライブユニットが組み込まれているクランク部の周辺。電池パックは従来の電動アシスト自転車よりもかなり小さい。容量は非公開だった(クリックで拡大)

 また、欧州市場の電動アシスト自転車向けに新開発したドライブユニットを採用。従来のPASの電動アシストは、モーターの力を専用のスプロケットでチェーンに伝える「チェーン方式」を用いているが、YPJ-01に採用したドライブユニットは乗員の踏力とモーターの力をクランクで合力する「クランク合力方式」採用している。このため、構造が簡素になり、軽量化にも貢献している。

スマートフォンと連携、ナビゲーションも

 YPJ-01は、スマートフォンと連携する機能も備えている。専用アプリにより、乗員の踏力とモーターの力とともに、車速、シフトポジション、電動アシストモード、電池パックの残り容量などを表示する。ナビゲーションアプリと連携して、目的までの距離、ルート上における曲がり角までの距離と曲がる方向も示してくれる。

左側の写真のように、「YPJ-01」のハンドル中央にスマートフォンを設置する。右側の図は、スマートフォン連携機能の概要である(クリックで拡大)

 ナビゲーションのルート案内は、「最短距離」や「楽々コース」、「電池を使わない」といった目的に合わせて自動で設定してくれる。「一般的なサイクルコンピュータはケイデンス(1分当たりのクランク回転数)を見るためのものだ。一方、YPJ-01のスマートフォン連携機能は、乗員の踏力とモーターの力のバランスを一目で把握できることが特徴になっている」(同説明員)という。

 YPJ-01の製品化時期は未定。しかし、コンセプトモデルの時点で実走行が可能なことや、欧州市場向けとはいえ既に量産販売しているドライブユニットを採用していることを考慮すれば、製品化までにそれほど時間はかからないかもしれない。

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